第9話 ご奉仕パ⚪︎ズリ



 

 死ぬほど大嫌いな元カノが、おっぱいを揉めと迫ってくる。


 その理由は、俺自身の才能を気づかせるためだった。

 だから俺は、

 死ぬほど大嫌いな、弱い自分を越える。



 ……とはいえ、それは具体的にどういうことなのか?


 その問いの答えは、あっさりと出た。


 ────シオリよりも、面白い作品を書く。

 それだけの、シンプルな話だ。


 結局のところ、『納得』できるか。

 俺の、『納得』の話なのだ。


 …………それには、最低でも『プロ』になれるくらいではないと、納得しないだろうな……と。そう、自分の心理を分析する。



 シオリに勝つ。

 納得する。

 プロになる。


 目的を明確にすることで、すべきことが見えてくる。




 ────では、逆に、過去の俺はどうしてそれができなかった?


 俺は、なぜ弱かった?

 

 ……今ならわかる。

 自分の強みがわかってなかったこと。

 そして、自分のこだわりだけを優先させたこと。


 あの時、俺とシオリが一緒に作っていた作品。

 王道なファンタジーなのだが、俺はバトルシーンや、男の主人公についてのシーンばかりで、ヒロインのシーンに力を入れていなかった。

 まったくヒロインを描かない、というわけではなく、配分の問題ではあるが、それがよくなかった。


 バランス。

 配分。

 そのバランスは、シオリの方が圧倒的に上手かった。

 シオリは、そういう部分の調整が上手い。

 俺は、下手だ。

 

 それは事実として、俺は出版されたものを読んで、自分でもそう思った。 


 では、どうすればいいか?



 自分の強み。

 こだわり。


 あの時と違う選択をするのならば────……、




 

 ────めちゃくちゃドスケベな、エロに特化した話。


 これだ。






 ……シオリの思惑に乗るのは癪だが、それだけで『正解』を捨てるような意地なんて今さらもうない。


 もう『不正解』は選びきった。

 味わい尽くした。噛み潰した。


 だったら、なにが正解なのか、その片鱗は掴めている。


 シオリの手の中には、『正解』がある。


 ここまでは、シオリの思惑。それでいい。


 思惑に乗った上で、それを越えればいいだけだ。


 


 □




 ……そんなことを、俺は学校の授業中に考えていた。


 授業中。

 教室。

 シオリが教室の前に出て、黒板に綺麗な字を書いている。

 先生が、「うん、合ってるな」と言って、それからシオリは涼しげな顔で席に戻っていく。

 その様に、大半の男子は目を奪われていた。


 ……俺はというと、シオリとエロいことをし始めてから、学校でシオリを見るのが微妙に気まずい。

 実は、みんなが憧れるあの優等生の、みんなが知らない姿を見てるんだぜ……みたいな、優越感がないとは言わないが……。

 

 というか、まあ、ある。

 あるが、それ以上に、今は……。


 シオリに、勝たなければということで、頭がいっぱいだった。



 □


 

 そんなわけで、放課後。

 シオリの仕事場。



「…………、

 『それじゃあ、ご主人様のために育てたこのFカップふわふわマシュマロおっぱいで、い〜っぱい、癒されてくださいね』…………。

 はぁ〜……これ、マジ?」


 ベッドに仰向けになった俺の足を膝に乗せて、シオリは胸で、俺のあそこを挟み込んでいた。

 パイ○リであった。

 既にやったプレイであるが、俺はここに一つ、ある可能性を感じていた。


「『こうやって、ぎゅ ぎゅ〜♡って、おっぱいで、ご主人様の大事なところ、隠しちゃいます うわぁ おっきくてさきっぽが出ちゃいますね こら〜! わるい先っぽには、こうして、ねもとから、ぎゅぅぅ〜♡って、ゆ〜っくり、おっぱいでズリズリしちゃいますね』

 …………嘘でしょ?」


 シオリがかわいらしい笑顔から、スン……と真顔になるのが、めちゃくちゃ面白かった。

 シオリは今、メイド服で、俺の書いた台本を読み上げながら、パイ○リしている。


 面白いのは、シオリはちゃんと演技をしてかわいらしくやってくれるが、一つセリフを終える度に、真顔に戻る。

 嫌そう〜。

 いやなんだろうな、普通に。


 俺はこれまでのシオリのエロ本の傾向から、だいたいの趣味を察していた。

 だからこそ、なのだ。

 別に、俺の趣味ではない。

 断じて。これは、布石なのだ。断じてそうなのだ。

 

「『たいへん! あっつあつのご主人様のお○んぽ、いまふーふーして冷ましますね! それから、こうやって、れろぉ〜……って、いっぱいヨダレを垂らしてぇ……、すりすりおっぱいで塗り込んで……。きゃっ……♡ まだ熱い……。すごぉい、おっぱいやけどしちゃう』

 ……するわけなくない? 体温でしょ? 

 自然ロギア系なの?」



 うるさいなあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 黙ってできないのか、きみはァおおんなんだきみはァァ!!!!!?!!???????!?!


 俺は、いいたいことをぐっとこらえる。


「……シオリ。パイ○リは嫌いか?」


「……あんた、この台本なんなの? よくこんなの思いつくね。怖いわ……」


 確かに、この台本はヤバいかもしれない。

 具体的には、ふぇぇ……あたし、上手にできてますかぁ? うゅゅ〜……、純真無垢なお兄ちゃん大好きご奉仕大好きメイド系妹……のような、ナニカを想定しており、これはシオリには似合わない。

 俺の趣味ではない。断じて。


「それだ。その気持ちのまま、今度は台本なしでいこう」

「どういうこと……?」

「その怒り、憎しみをパ⚪︎ズリにこめるんだ」

「は?」

「頼む」

「……はぁ……。仕方ないわね……。で、どうすればいいの? これ、なにがいいの? こんなのがいいの?」

 

 シオリは事務的に、単調なテンポで、自分の胸を持ち上げては、打ち付ける。

 ぱん、ぱん、たぱ、たぱ、ぱん、ぱん…………と、一定のペースでおっぱいが打ち付けられる音が響く。


 俺はシオリに目をじっ……と合わせ、それだ! と伝える。


「こんなので感じちゃうんだぁ? 無様な体勢で、へこへこ腰動いちゃって、変態性癖さらけだして、プライドないの? おっぱいはこんなふうに使うものじゃないんだよ?」


 シオリも掴んだようだ。

 ノってきてるな。


 ……そう。

 俺がかつて、シオリのマゾモードに付き合ったように、シオリもまた、俺のマゾモードを掴んでいる!


「ほら! イっちゃえ、変態! ぐつぐつに煮えたキモいマゾ液びゅるびゅるおっぱいマ○コのなかで情けなく無駄撃ちしろ!!」 


 俺は、めちゃくちゃイッた。


「やっばぁ……、濃い。ほら、こんなに糸引いちゃって。こんなことしてもおっぱいは妊娠しないんだよ〜?」


「シオリ……おまえは天才だ!」


「……ごめん。やられて気づいた。私がマゾになってる時も、あんたこんな気分だったんだね……」 


「わかってくれるか……」


 お互い様だった。

 お互い、微妙に相手をいじめるのに慣れてない。

 ……いや、シオリのが上手いような気もするが……。


 □


 

 そうして、それから俺たちはあらゆるエロいことを、試しまくった。


 シオリに首輪とリードをつけて犬プレイをしたり、

 

 全身のあらゆるところを開発してみたり(最終的に、シオリはお腹をちょっと押すだけでイケるようになったので、日常生活がヤバいのでは?となった)、

 

 どれだけ連続でイケるか試してみたり、

 

 コスプレとか、シチュエーションを作り込むとか……(お互い凝り性なので大変だった)、


 …………これだけして本番だけしてないの、そんなことある? ってくらいやりまくった。

 



 そして、その経験を注ぎ込んだ小説を、俺は書き上げた。

 

 今までの自分では書けないものが書けた、と一皮剥けた(皮……剥ける……)という感覚を掴んでいた。


 その新作で、プロ・アマ両方が参加できる、投稿サイトで開催されるコンテストへ投稿する。


 ……そこで、シオリと俺の決着をつける。


 その結果は────…………。










────────────────


【あとがき】


そろそろシーズン1?完結? 一区切りです。

犬プレイ、開発……らへんでなんか見たいやつありますかね……?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る