死ぬほど大嫌いな元カノに、おっぱいを揉めと迫られている

第7話 お風呂 ／ おっぱいと、ふともも、どっちがいい？

　既にブラをはぎ取ったりした後でも、服を脱いでいく過程には、まだときめけるものだなと思った。

　シオリはシャツを脱いで、スカートを脱いで畳む。

　ショーツや靴下も脱ぐ。

　正真正銘、生まれたままの、一糸纏わぬ、すっぽんぽんであった。

　長く艶めく腰までの黒髪と、真っ白な肌の対比が双方の美しさを際立たせる。

　作り物めいた、冗談みたいな美しさだ。

「…………なに見てんの？」

　マゾモードは終わってるらしい。

　両手で胸と下を隠して、冷たい目で睨みつけてきた。

「情緒どうなってる？」

　さっきまで尻叩かれて喜んでた人間のする目か？

　俺は服を脱ぎながら、まだ赤みの残るシオリの尻を見つめた。

　シオリも、こちらをじっと見ている。

「……なんだよ」

「……いや、別に……？」

　言いながら、シオリは俺の腹筋をなぞる。

　溝をなぞって、筋肉の形ひとつひとつを確かめるみたいに、線をひく。

「何が別になんだよ」

　俺は指先でそっと、シオリのへそをつついた。

　ぺしっ、と叩かれる。

「ヘンタイ」

「理不尽……。おまえもヘンタイだろ」

「あんたが陰キャのくせにほどよく鍛えてるのが悪い」

「……」

　ここで俺が、『そんなバカでかい乳ぶら下げて男を誘惑する体をしてるお前が悪いんだ……！』っていいながらおっぱい触ったら、めちゃくちゃ怒るのでは？と思った。

　まあ、それは言わないでおこう。

　シオリがたまにエロ漫画みたいなこと言うの、おもしろいから……。

　当然ながら、全裸二人で、浴室へ。

「……え、風呂わいてる……。……おまえ、まさか、最初からここまでの流れを？」

　シオリが計算外だったのは、今日、仕事部屋にアヤねえが来ること。

　だが、そこからマゾとして覚醒することと、一緒に風呂に入ることは、アドリブで立てた計画だろう。　

　すごい機転だ。ルルーシュか？

「ふふ。準備いいでしょ？」

「マジでドヘンタイだな……、もう汚れる気マンマンだったのか」

「くっ…………」

　シオリが「＞＜」の顔で黙った。かわいい。

　こいつ、もしかしてバカなのか？

　それから、俺が体を洗っている時のことだった。

　突然、後ろから、柔らかいものが。　

「え、なにしてんの？」

「なにって、体を洗うのを手伝ってるだけだが……」

　シオリはなぜか、なろう系主人公みたいな口調でいう。

　またなにかやっちゃいました？

　やっちゃってるんだよね。

　ただでさえ、柔らかくて、肌触りのいいシオリの肌が、泡による滑りで、爆発的な快感を与えてくる。

　例えば、手で撫でただけでも、どこを触っても、シオリの肌が気持ちがいい。

　それが、お腹や胸で一気に触れたら？

　単純に、接する面積が増えた分だけ快楽が増幅するような、恐ろしい方程式が発見されそうだった。

　ノーベル賞はおまえのものなのか？

　それに、なんというか、シオリが『体を使う』感じが、たまらなく卑猥だ。

　『奉仕』の要素からだろうか。

　自分の体を『道具』として、日常で備えた尊厳や人間性を喪失させていく過程がエロいのだろうか……。

　ああもう、難しいことはいいや。

　ぬるぬるで、ぷにぷにで、すべすべで、むちむちが、ふにふになのだ（ＩＱマイナス５０００）。

「……ねえ、腕を洗うときは、おっぱいとふともも、どっち使って欲しい？」

　悪魔の二択だった。

　そんなこと、人類に選べるのだろうか？