第6話 馬乗りパイ◯リ

【シオリ視点】


 ぱぁんっ、と乾いた音が響く。

 お尻を叩く音。

 フミトの大きな手が、容赦なく、わたしに痛みを与える。

 わたしの体から、こんな音が響くことがもう恥ずかしい。

 お尻に痛みが走る度に、電流みたいに気持ちよさも走る。

 ヤバい。

 これ、想像以上に、良い。

 

 フミトの手は、わたしの両手を簡単に制圧してしまう。

 組み伏せられて、動けない。


「……本当に、こうされて嬉しいわけじゃないんだよな?」


 淡々とした、冷たい声で、フミトは問いかけてくる。


「違うって、言ってるでしょう……」


「だったら……、」


 フミトが、私のナカに指を這わせる。

 入ってくる。

 私から溢れたものを指でぬぐい取って、指先で糸を引くそれを見せつけてくる。


「こんなにして、それでも違うって?」

「そんなの……、別に叩いたりしなくても、そうなるよ」


「へえ。なら、これは?」

「……ん、ぁん♡」


 またフミトが指を入れてくる。

 そのまま、くるんと、私の体をひっくり返して、うつ伏せにされる。

 もう、されるがまま。

 お尻をフミトに見られちゃってる。

 

 ぱぁんっ!!

 また乾いた音が鳴る。

 私に左手の指を入れたまま、フミトは右手でお尻を叩いた。

 きゅん……♡と、そこが反応してしまう。

 快感に反応して、しめつけちゃう。

 ぎゅっ♡ ぎゅっ♡ って、嬉しくて、気持ちよくて、素直に反応してしまう。

 もう全部の反応にハートがたくさんついちゃう。

 全部きもちいい。全部うれしい。

 どんなに言葉で覆い隠そうとしても、暴かれてしまう。


「乱暴にされるのが好きなの?」


 私はふるふると、首を横に振る。


 うそだった。

 大嘘すぎる。


 大好きだった。

 いえない、いえない。言えるわけない。

 変な子って思われたくない。

 はしたない子って思われたくない。

 でも、しょうがないのだ。


 だって、フミトのせいだよ?

 フミトの小説を見たときから、ずっと私は変なのだ。おかしい、壊れてる。狂ってる。

 フミトに変にされちゃった。

 えっちにされちゃった……。

 別に、フミトの書いた小説が変態っぽかったわけではないの。 


 フミトが書く男のキャラクターは、とてもかっこいい。

 色気がある。強くて、優しくて……、リードしてくれて。

 私の理想の王子様。


 それなのに。こいつ! この男は!

 気づいてないのだ。


 自分がそういうキャラを書けることも。

 私がそういうのが大好きなことも。


 鈍い。天然。バカ。キライ。キライ。

 フミトのことは大好きだけど、そこだけは、本当にだいっきらい、死ぬほど嫌い。

 信じられる!?

 そんなことある!?


 この男は自分の強みとか、得意なキャラとか、そういうことをちゃんと考えてない、分析できてない。

 小説を書き始めてから気づいたことだが、どうやら私はそういうことに向いていたらしい。


 たぶん、フミトはそういうことに向いていない。

 才能。

 適正。

 きっと私たちのいろいろな違いの中でも、そこはかなり大きな差異だろう。


 ずっと人の目ばかり気にして、『優等生』を演じていたからだろうか?

 何かを分析したりすることは得意だった。


 だから、私はなんとかして、フミトに、わかって欲しい。

 フミトに、フミトの良さを気づいて欲しい。

 

 それには、ただそれを『説明』しても意味がない。

 もっと強烈な『体験』でそれに気づかせる必要がある。


 それが、私の『計画』の一端だった。


「乱暴にされるの嫌い? じゃあ終わりにする? やめる?」


 言いながらフミトは自分の張り詰めて膨らんで硬くなってる下腹部に、私の手を導いた。

 決めていいよ、と。こちらに選択権を委ねてくる。


 ずるい。

 ずるいずるい、そんなのやめられるわけないのに。

 そんなえっちになってるもの見せつけておいて。

 ひどいよずるいよ。


 私は飢えた獣が肉に食らいつくみたいに、フミトのベルトを外して、彼のそれを露出させた。

 

 そこに口づけする。

 少し、汗の匂いがする。

 すんすん……♡って深く吸い込んでしまう。

 男の人の匂い。フミトの匂い。

 より深く、より濃く、フミトを感じられるみたい。

 舌を這わせる。

 びくっ、とそれが跳ねる。ふふ、可愛い。

 感じてくれるのかな?

 嬉しい。

 自分のそれとは全然、やりかたが違うし、どんな感覚かも想像で、手探りだ。


「気持ちい?」


 不安になって、聞いてみる。

 フミトは頷くと、大きな手で優しく頭を撫でてくれる。

 なでなで。

 これ好き。

 大好き。

 

 フミトのモノがさらに大きく、硬くなってきた。

 すごい。まだ限界じゃなかったんだ。

 こんなになるんだ。


 すると、フミトが私の体を押し倒して、今度は仰向けにする。


「もっと別のところも『使って』あげるよ」


 そう言って、フミトは私のYシャツのボタンを外して、ブラを抜き取ると、おっぱいを露出させた。

 思わず腕で乳首が丸見えになってる胸を隠そうとすると、強引に腕を外される。

 腕力では絶対に勝てないと、実感する。

 

 馬乗りになったフミトは、私の胸で、ソレを挟み込んだ。

 

 □


 【フミト視点】


 

 なんか雰囲気でノリノリになって気がついたら馬乗りパイズリはじめましたになっていた。

 どうしよう。

 

 止まらなかった。

 これはたぶん、あんまりシオリの望んでるいじめかたではない気がする。

 いなくない? 

 馬乗りパイズリする王子様キャラ。

 いないでしょ、見たことないよ……。

 いや、王子様キャラではないか……俺様ドSキャラ?

 シオリの好きなエロ漫画をいくつか見ていくうちに、シオリが好むであろう攻め方にも予想はついていた。 


 …………まあ、なんでもいいか!


 シオリの胸は、たまらなく気持ちよかった。

 昔からデカいとは思っていたし、触った時にその柔らかさにも驚いたが、これはまた格別だ。


 自分の敏感なところで、それを感じるというのはたまらない。

 一番深く、おっぱいを感じられる気がする。

 やさしく、やわらかく、包み込まれて、快感が全身を駆け抜けていく。

 シオリに……、あのシオリを、組み伏せてる。見下ろしてる。


 例えば、シオリのことが好きなクラスの男子。

 いつもじろじろシオリの胸を見たり、オカズにしたとか言ってるやつらの話を聞いたことは、数え切れないほどある。

 男子だけではない。女子にもシオリのファンはたくさんいる。

 彼ら彼女らが見たら失神してしまうだろう光景だ。


 学校のやつらだけじゃない。

 例えば、シオリの作品のファン。

 『こんな綺麗な文章が書けるなんて、きっと作者も素敵な人柄に違いない』なんていうのは、シオリの作品を褒める時にはよくでてくるパターンだ。

 …………この実態は、ファンにもさぞショックだろう。


 両手で胸を揉む。

 俺の手のひらにも、下腹部にも、それぞれ快感が広がる。

 自分の手で、胸により挟む力を調節する。

 腰を打ち付ける強弱、スピードを調節する。

 おっぱいの柔らかさ・重量感を兼ね備えた感触。

 

 シオリの唾液でベトベトに濡れた俺のあそこは、スムーズに胸の間を滑る。

 しかし、本当に大きい。

 上手く胸を押しつけて形を変えれば、俺のものを丸ごと包んでしまえる。

  

「……そろそろ、出すぞ」


 俺は近くにあったティッシュを手に取る。

 シオリの胸の中に出したい気持ちもあったが、さすがに気が引ける。

 こんなことしておいて、今さらすぎるが……。


 すると、シオリが俺の手を掴んで、ティッシュ奪ってしまう。

 さらに、俺のものを口に覆ってしまった。


「……おい、ばかっ……」


 もう間に合わない。

 俺は、シオリの口の中に出してしまう。

 非現実的な感覚だ。

 シオリが口に含んだまま、心地よい感覚に包まれてしまう。

 あまりにも背徳的だ。

 

「うぇ~……、まっずぅ♡♡ エロ漫画とかで、よくいきなりおいしい~とか言ってるのみるけど、あれ嘘だね」

「じゃあ飲むなよ……」

「いいでしょ? もったいないよ」

「……まあ、そうか……?」


 シオリのための体験なのだから、こいつのやりたいようにすることに異存はない。


「おっぱいべとべとだ……。ね、シャワーいっしょに浴びよ?」

「一緒に……!?」


「……あんなことしといて、いまさら何に照れてるの?」


「……まあ、そうか」


 そうかも……。

 そんなわけで、今度はシャワーを浴びることになった。


  

















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