第2話

「これでいいの?」



私はマコちゃんの言う通りに寝そべった。

座布団を半分に折りたたんで、それを枕代わりにする。隣には丸まったマコちゃん。



「やったらできるやん君。その調子やで」



マコちゃんの鼻の上を撫でながら、私はうつらうつらと眠気が襲ってくる。



まだ、仕事が残ってるのに。

机の上に散乱している資料が視界に入ってくる

けどもう瞼は強制的に閉まってしまう。



「君、いつ見てもクマできてるな」


マコちゃんは呟く。


「俺らみたいに休むの上手にならんと体壊すで」



私はこの言葉を最後に完全に意識を手放した。

多分、目を覚ましたら全てが夢で終わるんだろうな。そう思いながら眠りについた。







しかし、目を覚ましたら、マコちゃんのおしりがすぐ目の前にあった。全然夢なんかじゃなかった。日はとっぷり暮れている。




寝すぎた。




「あ、起きたん。おはよう。

よう寝とったなイビキかいてたで」



モゾモゾと方向転換をしたマコちゃんは髭をひくひくさせながら言った。




「それは言わなくていいです」



私はゴロンと寝返りをうって悶える。



「あー、体痛い……」


「そら、こんな硬いとこで寝とったら体バキバキなるわ」


「マコちゃんがここで寝るって言ったから」


「そうやったかいな」




あ、しらばっくれた。それに、私が使ってた枕はマコちゃんが下に敷いている。



まあでも、久しぶりによく寝てスッキリした。

珍しく空腹感もある。何か食べようかなという気がしてきた。




「お腹ペコペコやなあ」


心の声が漏れたのかと思ったけど違った。

マコちゃんが横目で私を見ながら言っていた。



「はいはいご飯ね。ツナくらいしかないけどいい?」



「ええで、ご馳走やわ」



「じゃあそれでいいか」



私はぐっと伸びをして夕食の用意を始める。

隣のおばあちゃんからお裾分けしてもらった肉じゃががあるので夜はそれを温めて食べようと思う。



私が不摂生なのは、この小さなコミュニティでは筒抜けになっているらしい。代わる代わる近所のおば様達がお裾分けに来てくれるおかげで

私はご飯に困らない。



その代わりと言ってはなんだが、家の前で育ててるきゅうりやトマトをお返ししている。



マコちゃんには缶詰を奮発して2缶開けた。

いいお昼寝ができたお返しだ。





私も肉じゃがを頬張りつつ、マコちゃんを横目で見る。



「ツナサイコーやなあ、うにゃいうにゃい」



「どう? 元の姿に戻れそう?」



「そやなあ」



マコちゃんはお皿から顔を上げて

私をちらと伺う。



「もう、戻っても良さそうやなあ」



そう言ってまたツナにかぶりついた。

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