Detective 5
第61話
────足枷の鍵を見つけた日、私は子供の泣き声を聞いた。全身に毒が回るような異常な泣き方だった。
自由になった足で玄関へと向かう。ドアノブへ手をかけて、止める。
買い出しへ神谷と外へ出た日、ドアノブを捻り開く瞬間『ぴぴっ』と小さい音が鳴っていた。
オートロックでもないただの鍵式のこの部屋で、その音は浮いていて、恐らく何らかのセンサーで人の出入りを認識されているのかもしれない。
そっと手を離し、リビングへと戻る。
耳を澄ますと、まだ泣いていた。
自分の足音と、微かな泣き声。
目の前がぐにゃりと歪んで前が霞む。ああ、目眩か、と他人事のように思う。
壁を伝って、ベランダに向かった。
ガラス窓には細工もなく、すんなり開けられた。
ここは角部屋に位置していて、右隣にだけパーテーションが敷いてある。
そこには非常扉とも書いてあり、どうやらこの部屋の上に避難梯子が設置してあるため、避難する事態になった時はここから逃げるらしい。
パーテーションはかなり厳重で、上下に小さな子供くらいが通れる隙間があるが、あいにく私の体型では通れそうもない。
非常扉と書かれたところには鍵の差し込み口があり、隣へ行こうと思えば鍵を開けて通るしかなさそうだった。
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