Detective 4

第52話

───誘拐して3週間がたった。





未だに彼女は鎖に繋がれたまま静かに暮らしているようだった。




僕が見る限りでは、だ。




宮さんは本を読んだり猫のミヤと戯れたりして暇を潰していると言っていた。それが本当かどうかは分からない。



でも、部屋から出ていないのは確かだった。



玄関の扉が開くのを感知すると僕のスマホに通知がくるように設定してある。







僕はあらかじめ逃げ道を用意していた。





宮さんの鋭い観察眼が遺憾なく発揮されてしまえば、すぐにでもここから出られるというのは承知していたけれど、




もし、簡単に足枷の鍵が手に入ったならば、彼女は逃げ出すのか。と、僕は卑怯にも試すようなことをしていた。




結果、彼女は鍵を使って足枷をとることはあっても僕が帰宅する頃には、重い鎖を引きずって出迎えてくれる。




2段目のゲームケースの鍵の位置が毎日若干変わっているため、鍵を使用した形跡はある。




しかし、ちゃんと僕の元にとどまっている。




逃げだなさなければいい、鍵も見つからなければいい、と自分で用意したにもかかわらず思っていたのに



現状は、鍵は見つかったのに逃げ出さないという僕にとっては嬉しいことこの上なかった。




危うく自惚れそうになるのをこらえる。




僕は毎晩、宮さんを抱き枕にして寝ていて




「苦しいよ、神谷離せよ。もう明日こそ絶対出迎えてやらないからな」と必ず一回は体ををよじらせながら言う。




そんな宮さんが、この家にまだ居着いてくれている。




僕はあまりの愛おしさに

『ありがとう。僕の帰りを待っていてくれて』と祈るようにして、強く、強く、抱きしめてしまうのだ。

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