第37話

それから私はお風呂に入って、その次に神谷が入った。



お風呂の時だけ足枷は取ってくれた。

お風呂場の前に神谷がスタンバっていて、ひっきりなしに話しかけてくるのが少しめんどくさかったけれど。



とはいえさっぱりした私は神谷に借りたダボダボのスウェットを着て、ベッドでくつろいでいた。

広いベッドをゴロゴロ転がって、暇を持て余す。




ちなみに下のスウェットは貸してもらえなかった。上が大きいから問題ないと言えば、そうだけれど風通しが良すぎるのは問題だった。




足枷なんかをこしらえているのだから服も買ってあってもいいくらいなのに、と神谷に尋ねたところ



「宮さんと買いに行こうと思ってたから買わなかったんです」



と言われた。




私はこれを誘拐だと(神谷もそう言うので)思っていたが、ちょっと違うような気がする。



ただの同居。


足枷付きの。


あと、束縛がえげつない。



ちょっと足が重いし、ジャラジャラ煩いけれどそれを除けば快適と言えないこともない。




少しここにいるくらいなら大丈夫だろう、所長からの許しも出ているらしいし。


何より神谷には借りがあるから、一ヶ月くらいなら大人しくここにいてやってもいい。




そう自分のなかで決めて、目を瞑った。

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