第21話: アクラルの第3形態

ナーベが雷撃を放ち、アクラルの影を打ち破った瞬間、戦場の空気が一変した。アクラルは倒れていない。むしろ、その姿は以前よりもさらに強大な力を纏っていた。彼女は立ち上がり、その口元には再び不敵な笑みが浮かんでいる。


「ふふふ…ナザリックの使者よ、確かにお前は強い。しかし、私はまだ本気を出していない。ここで私の真の力を見せてやろう。」


アクラルはそう言うと、両腕を広げ、周囲に影が集まり始めた。その影はまるで生き物のように渦を巻き、アクラルの体を包み込み始める。


「第3形態、解放!」


その言葉と共に、アクラルの体は一瞬にして変容を遂げた。闇が凝縮され、彼女のローブは漆黒の鎧へと変わり、さらに禍々しい力が溢れ出す。彼女の手には巨大な影の鎌が現れ、その刃は虚無そのもののように光を飲み込んでいた。


アクラルの目は真っ赤に光り、彼女の力が完全に解放されたことを示していた。影の魔女としての彼女の力は限界を超え、今やナーベに匹敵するか、それ以上の存在感を放っていた。


「これが私の第3形態だ。闇そのものとなった私を、貴様ごときが倒せると思うか?」


ナーベはその姿を冷静に見据えながら、心の中で警戒を強めた。確かにアクラルの力は増大している。このままでは一筋縄ではいかないことは明白だった。


「貴様…まだ隠していたのか。」


ナーベは軽く舌打ちをしながらも、彼女の眼差しに動揺の色はなかった。むしろ、強敵と対峙することで彼女の戦闘意欲がさらに燃え上がっていく。


「だが、どれだけ強くなろうとも、私はナザリックの者。お前ごときに遅れを取るわけにはいかない。」


アクラルは笑みを浮かべたまま、影の鎌を振り上げた。その動きは速く、まるで闇そのものが具現化したかのように鋭い一撃がナーベに迫る。


「消え去れ、ナザリックの下僕!」


アクラルの一撃がナーベを襲うが、ナーベはすぐさま魔力を解放し、反撃に転じた。


「雷霆閃!」


ナーベの放つ雷がアクラルの鎌と衝突し、激しい閃光が周囲を包んだ。二人の力がぶつかり合い、その衝撃で大地が震え、周囲の木々が吹き飛んでいく。


アクラルの第3形態による圧倒的な力と、ナーベの冷静かつ強力な魔法。両者の戦いはますます激しさを増していった。


「どうだ、ナーベラル・ガンマ!これが私の真の力だ!」


アクラルは再び闇の鎌を振り上げ、さらに強力な一撃を繰り出す。だが、ナーベもまた、その攻撃を躱しながら、次の一撃を準備していた。


「貴様がどれほど強くなろうとも、私は決して負けはしない。」


ナーベはそう言い放ち、再び雷を纏い、次の攻撃のタイミングを見計らっていた。

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