第20話: 幹部に見破られたナーベ、戦闘開始
ナーベはガイゼル軍の拠点を後にしようと、暗闇の中を歩いていた。彼女の足音はかき消され、魔法で姿を消しているため、誰にも気づかれることはないはずだった。しかし、ふと背後に冷たい視線を感じた。
「おやおや、なかなかの腕前だな…だが、隠れきれるほど甘くはないぞ。」
その声は、闇の中から不気味に響いてきた。ナーベは即座に振り返り、周囲を見渡したが、何も見えない。だが、彼女の鋭い感覚は敵の存在を確かに感じ取っていた。
「見つかったか…。」
ナーベはすぐに魔法を解き、姿を現した。目の前には漆黒のローブを纏った女性、アクラル・セレナが立っていた。彼女は不敵な笑みを浮かべ、その黒い瞳がナーベをじっと見つめていた。
「ナーベラル・ガンマ、ナザリックの者か。お前の気配を感じ取ったのは私だけではない。」
その言葉に続いて、別の気配が近づいてきた。巨大な体躯を持つ男、リーヴァス・グレイブが無言でその場に現れた。彼の盾は鈍い光を放ち、その巨体からは圧倒的な威圧感が放たれている。
「ふん、どうやら遊びの時間は終わりのようだな。」
ナーベは軽く舌打ちをしながら、すぐに構えを取った。彼女の任務は情報を得て戻ることだったが、すでにバレてしまった以上、戦闘を避けることはできない。彼女の脳裏には、任務を完遂するための最良の選択肢が浮かび上がった。
「ならば、仕方がない。ここでお前たちを葬る。」
ナーベの言葉に反応するかのように、アクラルはその口元を歪め、不気味な笑みを浮かべた。
「その自信、どこまで続くかしらね? 私たちの力を見せてやる!」
そう言うや否や、アクラルの体から黒いオーラが立ち上り、彼女の姿が徐々に変わり始めた。周囲の影が集まり、彼女を包み込むかのように渦巻いていく。
「第2形態を開放する…。」
ナーベの目の前で、アクラル・セレナはその姿を変え、より強力な形態へと変身していった。彼女の漆黒のローブはさらに黒さを増し、その手には虚無のような力が宿る。闇の魔力が周囲に広がり、空間そのものが歪むかのようだった。
「ふん、なるほど…。」
ナーベはその光景を冷静に観察しながら、すぐに自らの魔力を高めた。彼女もまた、全力で戦う覚悟を決めていた。
「来い、下等生物ども。この私を本気にさせたことを後悔させてやる。」
ナーベが一歩前に踏み出すと同時に、彼女の魔力が解放され、その力は周囲に圧倒的なプレッシャーを与えた。闘いの幕が開け、両者の激しい一撃が交差する。
アクラルは影を操り、ナーベの周囲を取り囲むように闇の手を伸ばした。それはまるで無数の触手のように動き、ナーベを捕らえようとする。しかし、ナーベはその魔力を使い、瞬時にその攻撃を躱していく。
「影の魔女だと?くだらない。」
ナーベは冷たい表情を浮かべ、魔法を放つ。「雷撃!」彼女の手から発せられた雷が、アクラルの影を切り裂き、激しい閃光と共に大地を焼き尽くした。
しかし、アクラルはその攻撃を受けてもなお、不敵な笑みを浮かべていた。「甘いわね、その程度の力では私を倒すことはできない。」
再び影が集まり、アクラルの姿を覆い隠した。彼女は闇そのものとなり、ナーベの前に立ちはだかった。
一方、リーヴァス・グレイブはその巨体を活かし、ナーベに向かって突進してきた。彼の持つ巨大な盾が、大地を砕くような一撃を放とうとする。しかし、ナーベはその動きも見逃さず、瞬時に魔法を発動した。
「電撃!」
リーヴァスの盾に直撃する一撃が放たれ、彼の巨体を痺れさせたが、彼は微動だにしなかった。その圧倒的な耐久力に、ナーベは僅かに眉をひそめた。
「この男…厄介だな。」
だが、ナーベは怯むことなく再び雷を放ち、アクラルとリーヴァスの攻撃を迎え撃った。両者の戦いは激しさを増し、森の静寂を一瞬で打ち破っていった。
次の瞬間、アクラルが再び闇を放ち、ナーベを包み込もうとする。
「消え去れ、ナザリックの下僕!」
だが、ナーベも全力を出し、その闇を突き破るかのようにさらに強力な魔法を放った。
「これが私の力だ!雷霆閃!」
その一撃がアクラルの影を打ち破り、リーヴァスさえも後退させた。
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