第18話: 驚愕するガイゼル
ガイゼル軍の本拠地では、重々しい空気が漂っていた。巨大な玉座に座るガイゼルは、眉間に深い皺を寄せ、戦況報告を聞いていた。彼の前に立つ幹部たちも同様に緊張した面持ちで、その報告を受け取っていた。
「イビルアイの実力は、予想を遥かに上回っていた。」
そう告げたのは、軍の副官である漆黒のローブを纏った女、アクラル・セレナだ。彼女の声は冷静だが、その裏には明確な驚愕が隠されていた。
「ディオニスが、あれほどの力を開放してなお敗れるとは…信じがたい。」
「彼が『嵐の支配者』として戦場を席巻してきたことを考えれば、この結果は非常に驚くべきものだわ。」とアクラルは続ける。
ガイゼルは、静かに拳を握りしめていた。ディオニスは軍の中でも最も信頼できる戦士の一人であり、数々の戦場で無双してきた。彼が敗れたとなれば、イビルアイの実力は計り知れないものである。
「ディオニスの報告によれば、イビルアイは驚異的な魔力を持ち、彼の嵐の第二段階をも打ち破る力を持っていたそうだ。」ゾルバク・フィエンが毒々しい笑みを浮かべながら言った。「彼女に対しては、もう少し慎重に計画を練る必要がありそうだ。」
その言葉に、ガイゼルは鋭い目でゾルバクを睨んだ。
「慎重に?それだけでは足りん。イビルアイはただの冒険者ではない。彼女は我々の敵として最も厄介な存在になり得る。」
ガイゼルは立ち上がり、玉座の前に進み出た。彼の体格は並外れて大きく、重厚な鎧が力強さを際立たせていた。その姿に、幹部たちは無意識に身を引き締めた。
「では、どうするのか?」アクラルが冷静に問いかける。「イビルアイを野放しにするのか、それとも…」
その瞬間、ガイゼルは大きく腕を振り下ろし、テーブルを打ちつけた。その音が部屋全体に響き渡る。
「イビルアイを倒す。それが我々の最優先事項だ。」
彼の言葉には揺るぎない決意が感じられた。幹部たちはそれぞれ顔を見合わせ、次の一手をどうすべきかを考え始めた。
「ディオニスの力をもってしても彼女を打ち負かすことができなかった以上、我々はさらなる策を講じなければならない。アクラル、君の影の力で彼女を追跡し、次に動くタイミングを逃さないようにしてくれ。」
アクラルは静かに頷き、その冷徹な瞳が再び光を宿した。
「了解しました。私がイビルアイの動きを監視し、次の作戦を提案いたします。」
ガイゼルは再び玉座に戻り、次の戦いに向けて思案を巡らせていた。イビルアイの実力が驚異的であることはもはや疑いの余地がなかったが、彼が持つ野望のためには、必ず彼女を倒さなければならない。
「ディオニスの敗北は我々にとって痛手だが、それはまだ序章に過ぎない。イビルアイを葬ることができれば、我々は次の段階に進むことができるのだ。」
ガイゼルの言葉に、幹部たちは黙って頷いた。次の戦いに向けて、彼らはそれぞれの役割を果たす準備を整え始める。
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