第15話: 幹部たちの集合会議
ガイゼル軍の要塞の奥深く、巨大な玉座の間には緊張感が漂っていた。高くそびえる石造りの壁は、まるでこの場の重圧を象徴しているかのように冷たく、無言であった。部屋の中央には巨大な円卓が置かれ、その周囲に幹部たちが集まっていた。
「全員、揃ったな」
ガイゼルの冷たい声が部屋に響き渡る。彼は玉座に腰掛け、その鋭い目で一人ひとりを見渡していた。集まったのは、彼の信頼する最強の幹部たちだ。
まず、円卓に静かに座っていたのは、「嵐を操る男」ヴォルテクス・ディオニス。彼の金色の鎧は雷光を帯びており、座っているだけでまるで雷雲が立ち込めているかのような威圧感を放っていた。その隣には、漆黒のローブを纏ったアクラル・セレナ。彼女の冷たい瞳は虚無そのもので、空間そのものが彼女の闇に覆われているような不気味さを漂わせている。
「今日は何の用だ?」と寡黙な男、リーヴァス・グレイブが静かに問いかけた。その声は低く、だが彼が言葉を発するだけで、その場の空気が重くなった。彼の巨体と絶対的な盾は、誰もが畏怖を感じる存在感を持っていた。
「イビルアイの動きが目に余る」とガイゼルが低く言い放った。
その言葉に反応したのは、「毒の司祭」ゾルバク・フィエンだった。細身の彼は、冷たい笑みを浮かべながら、指先を軽く動かし、毒を象徴するような紫色の煙を漂わせていた。
「イビルアイか…少し、苦しませてやるのも悪くないな。奴の命をじわじわと奪い取るのは、楽しみではないか?」
だが、その言葉を遮るように、玉座の間の隅に立っていた「時の操り手」ルクシオン・クロノが一歩前に進み出た。彼は時間を超越したような静かな目でガイゼルを見つめる。
「モモンという名の男の未来は…まだ不透明だ。しかし、今はイビルアイを片付ける時だろう。未来を変えるためには、まずその障害を取り除かねばならない。」
ガイゼルはしばし沈黙した後、ヴォルテクス・ディオニスに向かって静かに言った。
「ディオニス、貴様が行け。イビルアイを討て。お前の雷の力が必要だ。」
ディオニスは無言で頷き、立ち上がった。彼の金色の鎧が雷光を放ち、その場にいる全員が彼の圧倒的な力を感じ取った。彼が動くたびに、まるで大地が揺れ、雷鳴が轟くかのようだった。
「承知した。私の嵐が彼女を葬り去るだろう。イビルアイも…その力では私には勝てまい。」
そして、ディオニスは一歩踏み出した。その後ろに黒い影が追随する。それはアクラル・セレナだった。彼女は一言も発さず、ただディオニスの後に従った。
「影の魔女か…」ガイゼルは軽く笑った。「彼女も動くか。面白い。」
ディオニスとセレナが玉座の間から消え去ると、ガイゼルは残された幹部たちに向けて再び言葉を発した。
「これが始まりだ。イビルアイを討ち、次にモモンも仕留める。奴らが我々に立ち向かうことは、無謀であることを思い知らせてやるのだ。」
幹部たちはそれぞれ頷き、ガイゼルの言葉に従い、各自の任務を果たすために散っていった。
その頃、イビルアイは――
イビルアイは静かな森の中で、その冷たい瞳を鋭く光らせていた。ガイゼル軍の動きにはすでに気づいており、彼女は待ち構えていた。
「来るのね…ガイゼルの使者が。」
遠くから雷鳴が聞こえる。その音が次第に近づいてくることを感じながら、イビルアイは静かに呪文を唱え始めた。
「さて、どれほどの力を見せつけてくれるのかしら…?」
嵐の中心に立つ男、ヴォルテクス・ディオニスがその先に迫っていた。イビルアイとガイゼル軍の幹部の壮絶な戦いが、まもなく幕を開けようとしていた。
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