第11話: 森林の脅威

ナーベラルの声が響く。「モモン様、この先には何かが潜んでいます。」


深い森の中、モモン(アインズ)は周囲を見回し、次第に強まる異様な気配を感じ取っていた。普段とは違う静寂、そして微かな殺気。ナーベラルの警戒は正しい。何かが迫っている。


「ここで足を止めるわけにはいかない。」モモンは大剣を軽く振り、戦闘準備を整えた。「目標はガイゼルだが、他にも脅威が潜んでいるかもしれん。ナーベラル、周囲に注意を払え。」


ナーベラルは無言で頷き、杖をしっかりと握りしめる。2人は慎重に一歩ずつ、深い森林の奥へと進んでいった。


その時、突然木々の間から黒い影が飛び出してきた。数十体の魔物が鋭い爪を振り上げ、猛然とモモンに襲いかかってくる。彼らはガイゼル軍の斥候であり、ただの雑魚ではなかった。


「やはり来たか…。」モモンは一瞬も迷わず、剣を振り下ろす。巨大な魔物が一瞬で真っ二つに切り裂かれ、鮮血が空を舞った。続けざまに襲いかかってくる魔物たちに対し、モモンは驚くほど冷静だった。


「これぐらいでは俺を止められん!」モモンの大剣が空を切り、次々と魔物を斬り倒していく。その剣筋は正確で無駄がなく、圧倒的な力を持って相手をねじ伏せていった。


ナーベラルもすかさず呪文を唱え、強力な雷撃を放つ。「《雷撃 (ライトニング)》!」


雷光が一閃し、数体の魔物が感電して絶命した。戦いの場は一瞬で修羅場と化し、モモンとナーベラルの息の合ったコンビネーションで敵は一気に壊滅状態に陥った。


だが、それでもこの襲撃は単なる前哨戦に過ぎなかった。深い森の奥から、次の気配が迫ってくる。モモンはその存在に気づき、眉をひそめた。


「来たか…本命か。」モモンは剣を構え直し、慎重にその存在を見極める。


そして姿を現したのは、ガイゼル軍の幹部の一人――炎を操る魔導士、バルドルスだった。彼は冷笑を浮かべながら、モモンとナーベラルを見下ろしていた。


「これがナザリックの噂の戦士、モモンか…面白い。貴様の強さを見せてもらおう。」


バルドルスは両手を広げ、周囲の空気を振動させながら強力な魔法を発動させた。彼の手から放たれた炎は、瞬く間に森の一部を焼き尽くし、猛々しい火柱が立ち上がった。


「《炎の渦 (ファイアストーム)》!」


圧倒的な熱量と威力を持った火の渦がモモンに襲いかかる。だが、モモンは動じなかった。彼の体に黒い魔法の防壁が瞬時に現れ、バルドルスの炎を弾き飛ばした。


「その程度の魔法では俺を倒せない。」モモンは冷静に剣を構え直す。「お前が幹部なら、少しは楽しめるか?」


バルドルスは苦笑し、さらに魔力を高めた。「貴様、ただの冒険者ではないな…!」


「その正体を知るには、お前の命を賭ける必要がある。」モモンは大剣を振り上げ、全力でバルドルスに突撃した。その速さは尋常ではなく、バルドルスは思わず防御魔法を展開したが、モモンの一撃はそれを容易く打ち破った。


「ぐあっ!」バルドルスは苦しげに呻きながら後退したが、モモンの追撃は止まらない。再び振り下ろされた剣がバルドルスの肩を斬り裂き、鮮血が飛び散る。


「終わりだ。」モモンは冷酷な声で言い放ち、大剣をバルドルスに向けた。


だが、その時、バルドルスは最後の力を振り絞り、秘技を発動させた。「貴様を倒すために、これを用意していたのだ…!《炎竜の降臨 (フレイムドラゴン)》!」


炎の竜が現れ、モモンに襲いかかる。だが、その猛攻すらモモンの防御を貫くことはできなかった。彼の体に纏う魔力は、ただの冒険者とは比較にならない力を放っていた。


「くだらん。」モモンは一言だけ呟き、強力な一撃を放つと、竜もろともバルドルスを撃破した。


「これで終わりだ。」静かに、モモンは剣を収め、ナーベラルと共にその場を後にした。


一方、ナザリックではアインズがその戦いの映像を見ていた。冷静な目で全てを把握しながら、彼は再び計画を進めることを決意する。


「ガイゼル軍…思っていた以上に厄介な相手だ。しかし、こちらの力を見せるには十分な存在かもしれない。」アインズは独り言のように呟いた。

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