白金の爪のメンバーたちは、次々とガイゼルの放つ死霊に飲み込まれ、彼らの叫び声は薄暗い森の中に響き渡っていた。生き残った者たちは、絶望の中で逃げ場を求め、必死にその場から立ち去ろうとしていた。

だが、その中でただ一人、ミスリルランクの冒険者「紅蓮のガロ」がガイゼルの前に立ちはだかっていた。彼はヴォルフガングの死を目の当たりにし、怒りに震えながらも、冷静さを失わずに戦闘態勢を取っていた。

「ガイゼル...お前の力は確かに恐ろしい。だが、ヴォルフガングを倒したことで、俺の覚悟は決まった。お前をここで倒す！」

ガロは力強く剣を構え、その刃から赤い炎が立ち昇った。その姿はまるで焔をまとった獣のようであり、彼の猛々しさがガイゼルにも伝わっていた。

「君は私を止められると思っているのか？無駄だ...お前たちの力は、この形態の私にすら届かない」

ガイゼルは冷ややかに微笑みながら、無数の死霊を従えたまま、一歩一歩ゆっくりとガロに近づいていった。

「第1形態の私でさえ、アダマンタイト級の冒険者をも超越している。お前の攻撃が通じると思うのか？」

ガロはその言葉に怯むことなく、燃え盛る剣を振りかざした。彼の剣は紅蓮の炎をまとい、激しい力を放ちながらガイゼルに迫る。

「黙れ！お前のような化け物に屈するわけにはいかない！」

ガロの剣が振り下ろされた瞬間、炎の奔流がガイゼルを飲み込んだかに見えた。轟音が響き、炎の光が森全体を包み込んだ。だが、ガイゼルはその中でただ静かに立ち続けていた。炎は彼の周りで不自然に消え失せ、彼の衣にすら焦げ跡はなかった。

「…その程度か？」

ガイゼルは無表情のまま、ガロを見つめた。彼の冷たい瞳が、まるで獲物を見下す猛禽のようだった。ガロは驚愕した。自分の全力の一撃が、何の効果ももたらしていなかったのだ。

「ば、馬鹿な...！俺の炎が...通じないだと...！」

その瞬間、ガイゼルは無言で手を上げ、ガロの体に向かって鋭い瘴気を放った。闇の霧がガロを包み込み、彼の体に激しい痛みを与えた。

「ぐああああ！」

ガロは苦痛に叫びながら、その場にひざまずいた。彼の体は闇の中で蝕まれていく。だが、彼は意地でも立ち上がり、再び剣を握り締めた。

「俺は...こんなところで終わらない...！」

ガロは再び立ち上がり、力を振り絞ってガイゼルに突撃する。彼の炎の剣が再び輝き、最後の一撃を放とうとしていた。

「覚悟しろ、ガイゼル！これで終わりだ！」

ガロの剣がガイゼルの胸元に迫った瞬間、ガイゼルはただ冷静に手を振った。その瞬間、空間が歪み、ガロの剣は何もない空間を斬り裂いた。

「無駄だ」

ガイゼルは再び姿を現し、ガロの背後に立っていた。彼の手には黒い刃が握られており、その刃が一瞬にしてガロの背中に突き刺さった。

「...これで終わりだ」

ガイゼルの冷たい声が響き渡る中、ガロは血を吐きながら膝をついた。彼の体はもう動かず、ただその場に崩れ落ちた。

「お前たちのような冒険者では、私に抗うことなどできない...無駄な努力だった」

ガイゼルは倒れたガロを見下ろしながら、静かに呟いた。彼の周囲には、無数の死霊たちが従い、さらに不気味な気配を放っていた。

「次は誰だ...？」

そう呟いた瞬間、遠くで新たな気配が感じられた。

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