24. 楽しむお化け

 ひらひらとリボンが揺れる。端っこを捕まえようと黒猫は前足を伸ばしたけれど、すんでのところですり抜けた。リボンのもう一端を握ったお化けがくすくすと笑う。

 宙を泳ぐリボンを、今度は若鳥が追いかけた。嘴を伸ばしたが、これもすんでのところで避けられる。

 お化けは上手にふたりをからかっている。

「遊び上手ね」

 楽しむお化けに感心したアリソンは、コツを訊いてみた。

「楽しむことよ」

 風のような奔放さで、お化けは揺れる。猫と鳥はむきになってリボンを追いかけている。

「軽快な気持ちでいること。視野を広げること。心にゆとりがあれば、楽しみなんていくらでもある」

 揺蕩うお化けが、アリソンは羨ましくなる。ゆとり。私にもあるかしら。

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