21. 喜ぶお化け

「お腹すいたなぁ」

 力なくへたり込んだお化けに棒付き飴を差し出したアリソンは、既視感を覚えた。あのときはヒヨコが食べられかけたのだった。今は若鳥となって、その心配はないだろうが。

「ありがとー!」

 お化けは飴を受け取って、嬉しそうに頬張った。あまりに幸せそうなので、アリソンも嬉しくなってしまう。

「クッキーも食べる?」

「食べる!」

 小さなお菓子一枚に喜ぶお化け。アリソンはとても気分が良い。小さなことでもこんなに喜んでもらえると、周りも嬉しくなる。なんだか満たされる。

 嬉しいってそういうこと。

 黒猫と若鳥にもお菓子をあげて、みんなで幸せになる。

 気懸かりなんて何もなく、こうしていられれば良いなとアリソンは思う。

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