第8話 思春期

リオナが「最近、帰り遅いけどどうしたの?」と話し掛けた。

オトネが「別に。何もないけど」とつっけんどんな返事をした。

オトネは、自分の部屋に篭り、姿を消した。

オトネが自室で気になっていた男性のレオンが「お、オトネか?最近楽しいことないよな?どっか遊びに行かねーか?」と軽いノリでオトネに電話を掛けた。

オトネは「行くよ。待っているね」と電話を切った。

リオナがオトネの急いでいる様子を見て、「オトネ?あなた最近おかしいわよ。どうして毎晩出歩くの」とオトネの腕を掴んだ。

オトネは「うるさいな。もう私は良い子良い子されるのが嫌だし、嫌気がさしたの。もう大人なんだからほっといてよ」とリオナの手を離した。

リオナはムキになって「もう、こんなに説得しても分かって貰えないんじゃ、もう、家に戻らなくても良い」とオトネの頬を叩いた。

オトネは「もう、こんな家沢山だ」とリオナに怒鳴って家を出て行った。

オトネは、レオンから電話が掛かって来て「オトネ、今からそっちに向かうから、待っていろよ」と話をしてまた電話が切れた。

オトネは寒い中、レオンが来るのを待っていた。

ブルルルと言うバイクの音が聞こえて、オトネは「来たのかな?」と視線を横に向けたが、違う女の子のツレの男子がバイク出来て居ただけだった。

オトネはレオンに電話を掛けたが、電話に出る事もなく、道路の真ん中に倒れて居た。

雨の中、オトネが倒れているのを見て警察が近寄って来た。

警察が「君?そんな所で寝て居たらひかれるぞ」とオトネの身体を触ると冷たくなっていた。

オトネは、低体温症に陥り掛けて居たところで、救急車に運ばれて行った。

リオナが「オトネ、大丈夫?」と病室で8時間寝た後に目が醒めた。

オトネは「何でこんな所にいるの?」と目が醒めてリオナにキツく当たった。

リオナは「オトネ?何でそんなに頑なの?」と必死になって声を掛けたが、何も返事が無かった。

リオンが朝にお見舞いに来て「久しぶり?元気?」と声を掛けた。

オトネは「まぁまぁだよ。あまり良くない」とリオンに真顔で答えた。

リオンが「最近、どうしたの?学校も行ってないみたいだけど」と心配になってオトネに声を掛けた。

オトネは「私は男に裏切られて、その挙句、何が大切で何が必要なのかがわからなくなって来ちゃったの。人の幸せそうな顔を見ているとむしゃくしゃするのよ」とはっきりと今の気持ちをリオンに伝えた。

涙が出て来て、オトネは悔しそうに顔を歪めて居た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る