第5話 水道のお告げ
私は、しばらく角を右に回り続けた。
すると、そこには古びた扉が待っていた。
私は、少しためらいつつもその扉を開けた。
その時初めて暖かいと感じた。
私は、一歩足を踏み入れる。
その瞬間、肩が重くなった気がした。
後ろを振り返ると、
「きゃぁ~っ」
私の後ろには、死んだ人たちの遺体が連なっていたのだ。
「われらも一緒に外に出たい。われらの家族に会わせてくれ。お前だけ外に出るなど、絶対に許さぬぞ。
お前もわれらと一緒にこの地に沈むのだ。」
私は怖くなって、腰が抜けてしまう。
だが、自分に活を入れなおし、私は水道探しを再開した。
暫く歩き続けると、水道が10個ほどあった。
どれも、歌にあったようにずっと地下にあった割にはきれいで、蛇口をひねれば水が出そうだった。
「なぜだ、なぜっ入れぬのだっ~!!」
見ると、亡霊たちは水道のそばには近寄れぬみたいだった。
「どれをひねればいいの…?」
私は、10個の蛇口を眺めながらつぶやいた。
私はふと目をつむり、突き当たった一つをひねることにした。
「よし、これだ」
私は勢いに任せて蛇口をひねった。
(「そういえば、歌とか囁き声がしばらく聞こえてないな」)
と頭の片隅で思いながら。
私は、恐る恐る目を開く。
手には水がかかっていた。
「あっ、水だ。やった。水が出たわ!」
そう喜んでいると、急に水が赤く染まった。
そして、手に激痛を感じた。
血がにじむその両手に文字らしきものが書かれていた。
⁅ われらの代わりに外に出るお前の使命は、われらの思いを晴らすこと ⁆
⁅ お前は一生、われらの思いを心身に刻みながら生きるのだ ⁆
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