第4話 地下
地下への扉を開けると今までよりも一段と気温が下がったような気がした。
中は真っ暗というわけではなくほんのりと明るく、わざわざスマホの明かりをつけるまでもないようだった。
だが、締め切られているはずの地下なのになぜこんなにも明るいのだろう。
私はそんな疑問を抱きつつも壁を伝いながらゆっくりと下へと降りて行った。
地下につくとまた扉があった。
そこはいかにも古そうな雰囲気が漂っており、木造の扉だった。
扉の下半分は水につかったのかボロボロになっている。
押しても引いても開かず、試行錯誤しているとまた歌が聞こえてくる。
♪~押してーもダメ
引いてーもダメ
人間さん、人間さん
どうやって扉を開けるのかしら
あぁ そうだ
今は新しい扉ができてるのよね
自動で開く扉
急に横に滑り出す扉
あんな風にあかないかしら~♪
「自動で開く扉?あっ‼自動ドア」
私はすがる思いで扉を横にスライドした。
「あ、開いた!」
私は中に入った。
今度は真っ暗で、自分の一歩先さえもわからない。
私はスマホを取り出してライトをつけた、そして。
「う、嘘。何なの、これ」
そこはまさに地獄だった。
私が今いる場所はおそらく学生ホールほどの広さだろう。
だが、広いと感じるような要素はみじんもなく、所狭しと死体があった。
その中には、私の通う学校の制服もある。
そして、この旧校舎がまだ学校として機能しているころのものとみられる制服もあった。
「まずは、ここを通ってどこからかでなきゃだよね」
私は扉を探し、その扉を目指して死体を踏まないように気を付けて歩いた。
なぜか、絶対に踏んではいけないのだと感じた。
扉にたどり着きホールの外についた。
見上げると天井は窓になっていて十分な明るさがあった。
私はスマホをしまい、ふと後ろを振り返った。
「キャーッ」
思わず悲鳴を上げる。
なぜなら、今出てきた扉の所に死体の顔が密集していたのだ。
「われらを踏まなかった。
われらを踏んでしまえば、同じようにここをさまよう運命だったのに。
この少女は他と違うぞ。
右に進んではならぬ、決して右にこの道を行く出ない。
左に曲がるのだ、左へと突き進め。
曲がれるところはすべて左だ。」
私はその通りに左に進もうとしたのだが、なぜか足は勝手に右へと進んでいく。
「え、なんで。なんでこっちに行くの。」
私はどうにかして左に行こうとした、その時だった。
左の道が崩れ始めたのだ。
もしも左の道に進んでいたとしたら、私は、岩につぶされて死んでいたのだろう。
「地下の住民のいうことは信じてはいけないのね」
私は、心に固く決めてまた前に進み始めた。
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