第13話

またぎゅーと抱きしめてくれる雪斗くん。




ほんとに初めて?



って、優しい優しい声に素直に頷く。





そしたらまた少し体が離れて目が合う。




ーこれが、キスー




そう言って雪斗くんの顔が近づいた。




唇を挟むようにして、何度も重ねられる。


ちゅっと音を立てながら、角度を変えて雪斗くんがたくさんキスをくれる。


私がうまく息を吸えなくなると、少しだけ唇を離して呼吸を整えさせてくれた。



そしてまたすぐにキスをしてくれた。




いつも、迎えにきてくれた車の中、信号待ちでのキスを夢見てた。



はじまりの合図はキスじゃない。


キスであることはわかっているけど、あれはキスとは言わない。


これから事がはじまるよーて、テキトーに重ねられるもの。

そう思ってきた。


でも今、本当のキスを雪斗くんとして、やっぱり間違ってなかったって思った。





雪斗くんがぎゅーぎゅーと抱きしめながら、キスを繰り返す。


だんだんと激しくなって、舌が入ってきたからびっくりしたけど、すぐに頭がふわふわし始めた。


なんか…

愛されてる、みたーい…



足がガクガクしてきて立ってられない、そう思った時


雪斗くんが腰からぐっと抱き抱えて支えてくれた。



そっと唇が離れて、私はもうぼーっと雪斗くんを見つめて、








ーすき。ー








そうこぼしてしまった。

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