第3話

いつもの道を突然逆方向へ行くこともなく、信号待ちでキスをされたりもせず、いつもの道でいつもの行き先へ到着する。




1ヶ月ぶりだったから、ほんとはいつもより更に期待してたのに。

がっかりしすぎてしまった。





"行きたくない?"






好きでたまらない、優しい声。

心配そうに私を見つめる目。



どうしてそんな顔をするの?



私が心配だからじゃないのに。

着た目的が無くなる心配、のくせに。






ぼーっとしてた!


にこりと笑ってみせれば、あなたは安堵の表情。



車を降りたら手を繋いでくれるから、胸がどきんっとなってまんまとご機嫌にされた。








"好きなの、いいよ"








いつものセリフ。



でもちっとも嬉しくない。

アクセサリーやバッグ、何かプレゼントを選ぶのとは訳が違う。


悲しいだけ。



だから私はいつも1番安いものを選ぶ。


ささやかな反抗。

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