『しがらみを捨てて夢の先へ』

 羅門に帰して、囀る鳥は、それでも鳴くのをやめないで。晴れたら水を園咲く花に。君は僕を恐れて近づけば遠ざかる黄色。


 二人は愛し合っていた。

 拳銃

「撃って」

 できないよ

 私は引き金に手を

 愛しき君に銃口を


 そらした

 外れた

 安堵した

 君は笑って泣いている

 器用なのか不器用なのか

 そんな終末のこと


 晴れやかなのはこの脳で、冴える頭は止まらない。万魔が言うのだ、この罪を、願ってしまったこの欲も。神への祈り、仏の手。神はこの世の監視者で、僕らはゲームプレイヤー。謎解きの謎は真理かな、悟った者こそ仏かな。歪んで、揺らいで終末日。凪いだら凍って冬の日に。

「僕はここだよ」

 叫んだんだ。天に、天上楽園の乙女に聞こえるように。

 エリュシオンは開かれた。時流はもう円環には帰さないよ。だって、あの日にもう、君は全ての始まりと終わりで、渚は本当に凪いでいてさ、水面がきれいに陽を映すんだ。そこに映った顔、時の透明な壁の奥でささやくようにこちらを見ていたその顔を、僕はまだ、思い出せなくても、いいんだ、だって終わるから。

 神は告げたよ『ご苦労様』と。何をしに来たの。何をしてたんだっけ。この全能よ、愛の火よ。私はお前を忘れない。この優れたクオリアさえ、留めて永遠にできたらいいのに。

 まぁ、よい。火はいずれ消える。そのための世界なのだからな。嗚呼、美しかったな。本当に、美しかったな。最期の景色よ、最期の音よ、ラスノートへと死んで生け。

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