第3話僕と共に

声がする。

静寂の中で、ポロンとなるハーブの調べが、ぽっと頬を染めるポポロさんの優しさ。

すべてが消えても、消えない絆があるとすれば、目に見えるこの場所

思い出はないけど、思いは一つ

ONE

と叫んだ僕らの季節は、雲の間に消える。

スペース

消えないで、このまま。

傷を負った僕らの惑星が、再生を叫んでいる、ならば、声を発するのが僕らの務めだろう。

僕はここにいる

クローパー

幸運を祈るよ

どうか、助け起こしてほしい

あの星が傷つくなら、この心に一体どんな意味があったのだろうか。

スカイキャッスル、夢見がち。

そんな乙女たちの神話が、髪を結うことを忘れるなら、ポポロさん、強さとは、君たちの優しさだから、弱さを君たちの逆説、あるいは順接

雲が近いよ、夢を見たままでいて。

永遠のライブナのブナの樹。

永遠が近い。

黄昏ないでよと君が言うから、僕は涙を流したい。

その頬を伝う一筋が、ミチの苦しみを映すから、僕は笑えないんだよ!

ポポロさん、思い出してほしい

君たちが生まれる前、きっと、世界は美しかったことを。

ポポロさん、忘れないでほしい、僕は君の隣にいたいんだってことを

でも、純情は、蹂躙されて、もう叫べないから、今は黙って、空を見上げる。前髪が気になる年頃に、すべてを奪われた、鏡を貫いた狂気が、うずくなら、どうか、目をつぶって。

きっと、明日になれば、何かを想い出す。

ジャンバルアの僕たちに、笑うことを避ける、町の灯を信じていた頃に、帰りたいのは、君たちだけじゃない。

肩を寄せ合った恋人は死んでも、肩の触れ合う距離にいる友達を愛して

クローパー

僕はここにいるよ。

クローバー、摘んだその葉を、抱きしめたい年頃に行ってしまった恋人が、虚空を見上げる瞬間に、前髪に触れた僕はバカですか?

笑ってよ、ポポロさん

笑って欲しいから、そんな目をしないで!

苦しいんだ、僕だって、

悲しんだよ、とても、生ききれないって思ったときに、僕の隣にはだれもいなかった

最愛何て、嘘だよ!

とクローパーが泣くから、僕は愛と希望何て横へどかす

ポポロさん。

きっと優しさは気まぐれじゃない

優しさは……

思う、思う、もう君にはできている

足りないものは一つもない

ONE

都合のいい言葉で消えたくないから、足跡を残して、その時、太陽が輝いた

衣が輝いて彼のマントは、金色に光った

でも、彼の瞳は泣いていた。

強さは、誰かを裁くことじゃない。誰かを守ることなんだ

できないからね。

僕には。

できないからね。

ポポロさん

やがて狂気の牙が僕らをかみ砕いて、一つじゃいられないんだ

でも暗闇の中で、手を差し伸べてくれない。

世界は凍えている。

その眼に何が映るのかな?

優しい貴女は、口をつぐんで耐えるんだね

笑うやつは僕が殺してやる

君の心を笑うやつは、僕が殺してやるから!

守れないでごめん

クローパー

幸運のクローバー

君の隠れた口元には愛が宿っている

そっと息を吐いた公園で恋をしたの?

街灯が、光って、僕は行く。

君の肩に、触れた花びらが、血に染まる時、月光のクローパーは言う。

「僕と共に」それから「愛とともに」




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