第17話 きょうだい揃って晩御飯
「ユウ、カレーおかわり良い?」
「大丈夫だよ。でもサラダも食べてね」
「ゆう!おいしっ!やっぱ茶色ければ茶色ほどご飯に合うね」
「そう言いながら少ないね。ほのちゃんもたくさん食べてね」
「うーん、おっぱいが大きくなるの避けたいんだよねー」
「む。カレー食べると大きくなる?」
「や、分かんないけどお米が進むからカロリー高いかなって」
「はい、るり姉おかわりどうぞ」
「ありがと」
「ほのちゃんも気にせず食べな。トレーナー命令だよ」
「あはは。ありがとう」
優樹と瑠李は施術も終わり優樹の家に移動して食事をしようとしていた。
帆乃香から相談があると連絡が入り、明日に時間を取ると伝えるも強い希望があり食事を共にすることになった。
帆乃香と瑠李の2人は直接の関わりは今まではなかったが、さほど気を使うことなく打ち解けていた。
(ほのちゃんは明るいから分かる。るり姉はダウナー系だから心配したけど意外にも大丈夫そうだ)
優樹が交流を図る2人を笑顔で眺めていると、瑠李が何を食べたら胸が大きくなるのか、と帆乃香に質問責めしていた。
優樹は止めようかとも思うも帆乃香はいたずらっぽい視線を優樹に向けながら恥ずかしがることもなく答え始めた。そのため、いたたまれなくなった優樹はデザートにと果物を剥くためにキッチンへ移動する。
栄養を摂るためにと瑠李を食事に誘ったはいいが、強い希望によりカレーになった。
当然煮込む時間もないため、キーマカレーとして、せめて少しでもと冷蔵庫にある野菜をみじん切りにして片っ端から入れた。
(味は……2人とも人が作ったものを否定は絶対しないだろうからなぁ。自分としては美味しくできたけど、どうなんだろ?)
そんなことを思いながら果物を2人の前に置く。
2人からうかがうような視線が来るため、優樹はどうしたんだろうと首を傾げる。
「?」
「もし良かったらさ、本当に美味しかったしパパの分も少し貰っても良いかな?一緒に住んでたゆうくんが作ったって言ったら喜ぶと思うんだ」
「あはは。全然いいよ!そんなに多くないけどもっていって」
「やった!アタシもまた食べれる!」
「む。私の分も」
さっきの疑問の答えが分かった気がして優樹は嬉しくなり頬を緩める。
「あはは。あんま残ってないんだ。るり姉は明日の昼ごはんに弁当を作ってくから、それで許して」
「! すぐ許す」
「えー!アタシもゆうのお弁当欲しい!」
「ほのちゃんはお父さんのも作らなきゃいけないから、僕が作っても手間は変わらないでしょ」
「そうだった……お父さんの分も……いや、失礼すぎるし、渡す方法ないか……」
「僕の弁当の好きなおかずは食べて良いからさ」
「やったー!」
「む。私の特製弁当が……ん?いつも一緒に食べてる?」
「うーん、再会してからはそうだね」
「私も一緒する」
「アタシさ、学校で三角関係か⁉︎みたいにめっちゃイジられてさ。でも2人とも全然気にしてなさそうで良いね」
「帆乃香も気にしてなさそ」
「まーねー♪」
「僕はちょっと気にしてるんだよ!友だちの和也くんも噂の沈静化に協力してくれたし」
「ユウ、うそ。ヒトの目、気にしてたらぼっちになってない」
「なっ!るり姉はなんで僕がぼっちって知ってるのさ」
「雪が全く友だちの話しないって嘆いてた。それにユウ、カッコ良いのに噂にならない。みんなユウを知らない証拠」
「あー確かに!めっちゃ話しやすくて雰囲気あるのに、イジってくる子たちも“で、だれ?”ってなってる」
「やめて。それ以上塩を塗らないで……」
元家族の贔屓目部分を抜くと、ただのぼっちだってことじゃないか、と優樹は落ち込み、流れを変える様に「そう言えば相談って何?」と帆乃香に聞く。
「相談ってかグチだけどごめん。今日さ……」
「グチ吐け吐け」
「今日どうしたの?」
「生徒会室に呼ばれて行ったらさ、メガネの副会長さんがいてさ……」
「あの伊達ね」
(伊達男?伊達眼鏡?どっちだろ)
「伊達の副会長がいて?」
「そう。その伊達がさ。ダンス部作るの手伝ってくれるって」
「ダンス!伊達心のある伊達だ」
(伊達心なんて言葉あるんだ)
「その伊達さん生徒会副会長だし顔広そう。何で手伝ってくれるか分かんないけどラッキーだね。何でグチなの?」
「そう!アタシも何でって聞いたらさ、かわいいだのキレイだの容姿を褒めだしたのさ。急に下心!その流れで褒めてくれるなら、ゆうみたいにダンスに対する姿勢を褒めてよ!」
「伊達は見栄」
帆乃香は思い出したことを鎮めるように、飲み込んで消化するように、ずぞぞーっと持っていた水を一気に流し込んだ。
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