自由の代名詞、それは魔王

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第1話魔王になるためには

 新たな命として新たな世界に生まれたったことを実感する。朦朧とした意識の中にはっきりとした意志が宿る。同時に流れ込む多大な情報、それは視覚、聴覚などの五感から伝わるものだけでない。所謂前世というものだろうか、そんな何か、自分であって自分でないような不思議な感覚が内に内包されている。



 この時、後の魔王と呼ばれる存在が小さな寒村に生まれたのだった。



◆◆◆

 目が覚めました。どうやら泣きつかれて眠っていたみたい。夢であったかと思ったが、確かに俺の知っている世界とは異なるようだ。

少し見渡すだけでも、本に書いている文字が日本語とは違うし、窓の外から見えるのは遠くの空を飛ぶ、大きな鳥? のような生物だ。それは恐竜のようであり、物語にでてくるドラゴンのようでもある。


 

 結論を言おう。所謂、異世界に来たっぽい。

数日間、部屋に出入りする人たちの話を聞いていた。その結果の結論だ。驚くことに、言語は違うはずなのに理解はできる。そういえば本の文字も理解できていた。やっぱ不思議です、異世界って。



 なんか、急に実感が湧いてきた。どうしよう。折角の異世界だし楽しまないとな。




――その時、ドクンと心臓が脈を打つ。頭の中にひとつの情景が映る。



『本当に自由のない人生だった……。来世が有るならば、せめて自由に……』



 死ぬ間際の情景だった。確かに俺の記憶、すっかり忘れていたような、そんな物だった。急なことにビックリだが、前世は確かに自由を求めた気がする。



 それなら冒険者かな、それとも商人? このまま村人として自由に生きてもいいかもな。



――そこにもう1つ、ドクンと心臓が鳴る。



『俺、将来は魔王になる! 超かっこいいんだもん』



 小さい頃の記憶、何かのアニメにはまっていた頃のものだろう。幼少期の逆張りに、勇者でなく魔王を選んだのか、それともあの頃からすでに自由を求めていたのだろうか……。それはもうわからないがことだが……いいじゃん、魔王……。折角の異世界だ、他人と同じなんて面白くない、何か色を付けないとな。



 魔王になるっていっても今は赤子、スライムにすら簡単に殺されるだろう。この世界のスライムの強さは知らないけど。とりあえずは強さが必要。だれにも負けない、理不尽を吹き飛ばし、理不尽を振れるような圧倒的な強さが。



 ということで魔力を探してみます。母上や父上の会話を聞く感じ、この世界にも魔法というものがあるらしい。ならばその事象を起こすための何かもあるだろう。手掛かりは何もないがそんな理不尽をも破壊するのが魔王というものだ。魔王になるための第一歩踏み出して見せよう!



 不敵に笑う赤子の声が家の中に響いたのであった。父上も母上も何があったのと駆けつけるほど大きな声だったようです。反省、反省。



 毎日毎日探していたら、やっと見つけました魔力。正式名称はわからないけど。体の内部鳩尾の奥の方から、体の中を薄く流れる物を発見しました。まぁ、色々と試行錯誤したところ、自由自在に動かせるようだった。手の平へ流したり、足の方へ流したり、体のなかでぐねぐねと動かしたり。



 ずっとやっていて思いました。これって体外にも出せんじゃね? と。思い立ったら吉日、大の字に寝っ転がりながら手の平へ魔力を集める。いけ、フ○○○ルフラッシュ!! 込めた気合いとは裏腹に手の平からはフヨフヨとした魔力が出ていました。まぁ、成功かな?



 正直魔力で遊ぶの結構面白い。魔力を外へ出しきったら超頭痛くなったけど、寝たら治ったし、魔力の濃さ? ていうか質が上がってるような気がするし、放出できる魔力が増えている感じもある。成長を感じれるっていいですなあ。



 自由度も高く、放出した魔力で色々な形を作ったりもできる。他にも体を覆うように膜をはったり、口からドバドバだすと、マーライオンみたいにもなる。魔王とマーライオンってちょっと似てるしね。



 赤ん坊って超暇だから、やることができてとても嬉しい。そんなことを考えながら、ひたすらに魔力を使って遊ぶ。しばらくはこれが毎日が続きそうです。



 










 






 

 

 


 





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