第16話 侵攻

全軍を率いて、町に突入した。

目指すは完全な制圧だ。


町は最奥から、領主の館、1の城壁、商業区、居住区、2の城壁、工房区、農業区、3の城壁となっている。


北は海、東西は川、南の3の城壁は東西に20kmの長さで町を守っているので、我が軍は3の城壁の外に水平展開し、一斉攻撃へと移った。

北は海、東西を川が囲み、南の城壁は東西に20km以上続いている。

敵の守備兵はすでに城壁に配備されており、全力で町を防衛しようとしているが、そんなことは俺たちの進撃を止めるには程遠い。


まず、ギガントオーガが3の城壁をぶち壊すと、その衝撃音が町全体に響き渡り、開戦の合図となった。

敵も必死で反撃してきたが、上空を舞うエビルフェアリーとリリスナイトが攻撃を分散させ、城壁上の守備兵を次々に落としていく。

弓や魔法を放ってくるが、まるで蚊が刺すようなものだ。


「グオオオオオ!」


ギガントオーガが再び一撃を加えると、城壁の一部が崩れ、そこから我が軍の進撃が始まった。

第1層から第5層までのブルーラット、ビックバット、スライム、オーク、ブラックスライムは捨て石として送り出され、彼らが敵の攻撃を吸収してくれる間に、俺たちの主力部隊がその後を追い、正門をぶち破った。


魔人レントが先頭に立ち、ウォーリッチが倒れた敵を次々にアンデッドとして蘇らせては自軍に加え、我が軍は進むたびに数を増していく。

正門を突破した後、工房区と農業区をわずか1時間で制圧。

衛兵たちは居住区に集中していたため、工房区や農業区にはほとんど抵抗がなかった。


居住区にたどり着くと、そこはすでに火の海となっていた。

町全体が炎に包まれ、絶望した住民たちが逃げ惑う。

魔人レントがその中心で暴れ回り、ゴブリンエースとハードゴブミアは、逃げる町民を次々と捕まえては犯し、さらにはドラゴンやギガントオーガが生きたままその町民たちを貪り食っている。


「逃げても無駄だ!」


俺は高笑いを浮かべながら、上空を飛ぶエビルフェアリーやリリスナイトに命令を下し、さらに追撃をかける。

逃げ延びた先にはアラクネクリスタルの糸が張り巡らされ、そこに引っかかった者たちは、アラクネクリスタルの餌食となる。

あちらこちらで響く絶叫が、俺の耳に心地よく響いた。


「グアアアアァァ!」


魔物たちの咆哮が混じり合い、戦場はまさに地獄そのものと化していた。町民たちは次々と屠られ、衛兵たちも次第に押し込まれていく。

商業区と居住区の間にある1の城壁にまで彼らを追い詰め、ついにそこに到達した。


1の城壁内から、いくつもの光が天へと立ち上る。

あれは、転移魔術師たちが町の上層部の人間を避難させている証拠だ。

彼らは自分たちだけ逃げ、町民を見捨てたのだ。


「愚かだな、どこに逃げても無駄だというのに」


俺は冷たくそう呟く。

上層部が逃げたところで、寿命が少し延びただけだ。

俺の軍勢から逃れることなどできない。


「行け、1の城壁を突破し、領主の館を壊滅させろ!」


俺の命令に従い、魔物たちはさらに勢いを増して進撃する。

1の城壁は数分で崩れ去り、領主の館は一瞬にして瓦礫と化した。


その瞬間、膨大なDPダンジョンポイントが俺に流れ込んでくる。


「素晴らしい戦果だ。これでさらに強化が可能になる」


だが、その瞬間、目の前に新たな選択肢が表示された。


<町をダンジョン化>

<する>

<しない>


<する>←

「ピコッ」


※DPダンジョンポイントを一時的に全損しますよろしいですか?


<OK>

<NO>


<OK>←


「ピコッ」


急激にDPダンジョンポイントが消えたが、同時に、町全体が俺のダンジョンとして加わった感覚が押し寄せる。

これで、この町全体が俺の支配下にある。

敵の痕跡はもう何も残らない。


「ふう、さすがに疲れたな。久々にDPが枯渇した。この町を完全に取り込むのに、相当なエネルギーを使ったからな」


俺は深いため息をつく。


「今日は休むとしよう」


そう決めた俺は、ダンジョンに戻り、しばしの休息を取ることにした。





一週間が経った。

町全体が俺のダンジョンの一部となり、再びDPダンジョンポイントも充填されつつある。

次なる侵攻計画を考えていたその時、外から新たな来訪者が現れた。


「みならい勇者 ロッテン……?」


不思議な響きの名前だが、次の侵略の始まりを告げるものだろう。


彼が何者であろうと、俺のダンジョンを越えていくことなど不可能だ。

新たな挑戦者の到来に、俺は微笑みながら、次なる侵略の準備に取りかかることにした。

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