第14話 DMK
「なんだ、この球は?」
俺はゆっくりと近づき、その球を手に取った。光を放つその球体は、奇妙なエネルギーを感じさせる。
手に取ると、すぐに画面にメニューが表示された。
<DMKダンジョンマスターキラーの球の使い方>
<DMKダンジョンマスターキラーの球を使う>
「DMKダンジョンマスターキラー?」
俺は一瞬その名前に驚きを覚える。
ダンジョンマスターを倒すために作られた特別な存在か。
俺がダンジョンを拡大し、支配を広げるように、この「キラー」は俺を倒すためだけに存在するものなのかもしれない。
だが、肩書きが何であろうと、俺の邪魔をする奴は全て同じだ。
目的を果たすためには、利用できるものは利用し、障害は全て叩き潰す。
「さて、どうするか…」
俺は再び画面に表示されたメニューを確認した。
<吸収>
DMKダンジョンマスターキラーの能力を吸収し、自らの力とすることができる。
<眷属化>
DMKダンジョンマスターキラーを自らの眷属として再生し、様々な業務を任せることができる。
<開放>
DMKダンジョンマスターキラーを開放し、再戦を申し込んでくるのを待つ。
<晒す>
DMKダンジョンマスターキラーをダンジョン入り口に晒し、未熟な者を進入させることを躊躇わせ、熟練者を挑発する。
<道具化>
DMKダンジョンマスターキラーをアイテムとして装備させることができる。
これらの選択肢を一つ一つ眺めた俺は、ある一つの選択肢に目を留めた。
「晒すか…面白いじゃないか」
俺は選択肢を決定し、ダンジョンの入り口にイクイゴを晒すことに決めた。
「ピコッ」
と音がして、第2層の入り口に特設ケースが現れた。
拷問装置付きだ。球体が割れ、その中からは絶叫が響き渡る。
イクイゴの絶叫が周囲に鳴り響き、半径数キロにわたってその悲鳴がこだましている。
「おお、これはかなりエグいな…」
衛兵たちがケースを破壊しようとしているが、物理的な攻撃も魔法攻撃も効果がない。
傷一つつかないケースに、彼らは次第に恐怖心を抱く。
俺はこの光景に少し満足しながらも、やかましい絶叫に苛立ちを覚える。
「まぁ、意識しなければいいか。第7層までは音は届かないしな」
そう自分に言い聞かせながら、俺は次の計画に取り掛かることにした。
まずは、
第2層の入り口付近に数匹のアラクネクリスタルとハードゴブミアを転送した。
アラクネクリスタルたちは、入り口をクリスタルの糸で覆い始め、衛兵たちを外側から閉じ込める。
ハードゴブミアは猛毒の牙で次々と衛兵たちを屠っていく。
完全に封鎖されたダンジョンに、俺はさらにギガントオーガを3匹転送した。
彼らの「お食事タイム」が始まる。
わずか30分足らずで、衛兵たちは全滅し、彼らの命は全てDPダンジョンポイントとなって俺のもとに流れ込んだ。
その後も数日間、衛兵やイクイゴたちの襲撃により、多量のDPダンジョンポイントが溜まっていった。
そのポイントを使い、俺はダンジョンをさらに充実させることにした。
第8層、第9層、そしてついに第10層までを追加した。
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- 第1層:ブルーラット(入口)
- 第2層:ビッグバット
- 第3層:スライム
- 第4層:オーク
- 第5層:ブラックスライム
- 第6層:エビルフェアリー、リリスナイト
- 第7層:ゴブリンエース、ダークラミア、ハードゴブミア
- 第8層:ウォーリッチ、アラクネクリスタル
- 第9層:ドラゴン、魔人レント、ギガントオーガ
- 第10層:俺
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上層は、弱めの魔物を召喚して、少し入りやすくしておいた。
これで、挑戦者が増え、さらなるDPダンジョンポイントを得ることができるだろう。
「第10層まで完成した。記念に外の世界へ遠足でも行くか」
俺は微笑みながら、外へ向かう準備を進めた。
前回の戦いでも大活躍した第6層と第7層の魔物たち、合計2000匹を率いて、再び外へと繰り出すのだった。
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