第5話 悪魔
俺の復讐者リストには、いつの間にか多くの名前が刻まれていた。
町人 リム
商人 サルシュ
冒険者 ライル
冒険者 ダウ
探索者 エレン
格闘家 ジウ
魔導師 ゴルス
僧侶 エレレル
他25名ほどの冒険者や戦士たち、そしてエルフの森のエルフ達100名ほど。
そして、何よりも俺を痛めつけた張本人——戦士 ロイゴック。
まぁ、なかなかの人数になってきたもんだ。
だが、これでもまだ足りない。俺の復讐は、これからが本番だ。
さて、いつまでも町の上空を飛んでいると目立って面倒なことになりかねない。
目の前に広がるこの街は、天然の要害とでも呼ぶべき場所だ。
北を海に囲まれ、西と東には川が流れ、唯一の出入口は南にしかない。
断崖の上に立つこの街は、容易には侵入できないが、その分、南の入り口さえ押さえれば侵略は可能だ。そう考えると、ありがたい地形だな。
俺は南に向かって飛び、過去に作ったモグラ時代の洞窟を発見した。
あの頃の自分を思い出すが、今では洞窟はすっかり鉱山のように活用され、多くの人間が出入りしている。
彼らは草だけでなく、鉱物の採掘も始めたらしく、リアカーのようなもので鉱物を運び出している。
周囲には警備兵も配置され、薬草の密猟や害獣の接近を防ぐために目を光らせているようだった。
「ずいぶんと繁盛してるじゃねぇか……」
俺は街道からさらに奥へ進み、森の中に新しい洞窟を作り出した。
DPダンジョンポイントを使い、深さ5メートルほどの洞窟を掘り、中に入るとすぐに入り口を1メートル塞いだ。
太陽の光など必要ない。
ダンジョン内は俺にとって完璧な暗闇の楽園だ。
もちろん、モグラ時代に召喚したスライムたちも暗闇の中で元気に動いている。
人間は松明や光の魔法がないと洞窟内を進むことができないが、俺たちはその点で有利だ。
ここで重要なのは、焦らないことだ。
今まで俺は外部の生命を奪ってDPダンジョンポイントを溜めてきたが、その結果、最終的には外部の人間たちの結束力や組織力に圧倒され、敗北を喫してきた。彼らを甘く見るべきではない。
急がば回れ、まずは自力を蓄えることが肝心だ。
さて、最初に召喚する魔物も再考の余地がある。
スライムから始めるのは手堅いが、今回はもう少し工夫が必要かもしれない。
**召喚**
<スライム>
<イエローキャタピラー>
<ブルーインプ>
<キラーピクシー>
<レッドバット>
<ウォーラット>
<ビッグピラニア>
<デビルアント>
<テラバード>
……
俺は「レッドバット」を選んだ。小さな赤いコウモリだが、その凶暴性には定評がある。
**餌**
<魔草>
<魔蜘蛛>
<魔苔>
<魔キノコ>
<魔ミミズ>
<魔イモ虫>
<魔霞>
……
「魔イモ虫」を選ぶと、洞窟内に無数の気持ち悪いイモ虫が発生した。
赤とグレーのまだら模様が、洞窟中をウネウネと拡散していく様子は、見るだけで背筋がゾワッとする。
さすがにこれは気色悪い……。
だが、レッドバットは嬉しそうにその魔イモ虫を食べている。
これなら当分は餌に困ることはないだろう。
一週間後、洞窟は20メートルに拡張され、レッドバットの数も20匹まで増えた。
洞窟内には魔イモ虫が繁殖し、壁面にはその蛹がこびりつき、空中には無数の魔蛾が乱舞している。
それをレッドバットたちが捕食し、まさに混沌とした異界のような光景が広がっていた。
さらに3週間もすると、洞窟は全長100メートルに達し、レッドバットの数は爆発的に増えた。
やがて、餌となる魔イモ虫や魔苔、魔キノコなども自動的に再生され、洞窟内の生物密度はますます高くなっていった。
しかし、その時、警報が鳴った。
**「注意!魔物密度が限度を超えています。ダンジョンの拡張、出口の開放、または捕食者の召喚を推奨します。実行されない場合、魔物同士の共食いが発生する可能性があります。」**
もう少し様子を見るか……と思いながら、俺は焦らず、レッドバットたちをさらに召喚して洞窟内の生物密度をさらに高めた。
すると、餌が枯渇し始め、ついに共食いが始まった。小さな個体から次々に喰われ、1000匹いたレッドバットが100匹にまで減るのに一週間もかからなかった。
そして、その頃から新たな変異が発生した。エビルリリス——強力な個体が共食いの過程で誕生したのだ。
エビルリリスは、残りのレッドバットをわずか20匹で駆逐し、魔物の命をDPダンジョンポイントに変換した俺は、新たな魔物を次々と召喚した。
スライム、イエローキャタピラー、テラバード、デビルアントなどが繁殖を繰り返す中、エビルリリスは捕食者として洞窟の支配者となった。
そして、数ヶ月が過ぎた頃、エビルリリスとキラーピクシーが自然交配し、新たな種——リリスナイトとエビルフェアリーが誕生した。
半年後には全長1000メートルの入り組んだ5層構造のダンジョンが完成した。
各層には魔物たちが群れをなし、侵入者を待ち構えている。
**第一層**:ブラックスライム、広大なワンフロア、落とし穴多数
**第二層**:ガラスビー、マイクロワーム、アミダ式ダンジョン
**第三層**:エビルフェアリー、リリスナイト、蜘蛛の巣式ダンジョン
**第四層**:未定(狭いワンフロア)
**第五層**:一本道ダンジョン、最奥に俺が待つ。
半年間かけて作り上げたダンジョンは、俺にとって満足のいく仕上がりだった。
魔物同士の共食いから生まれた進化と変異により、ダンジョンのレベルは飛躍的に上がり、DPダンジョンポイントの運用も楽になった。
今ではかなり強力な魔物を召喚できるようになったし、日々溜まるポイントも豊富だ。
そして、今夜。久々に俺はダンジョンの外へ飛び出した。
一年ぶりの外界の空気を吸いながら、左右にエビルフェアリーとリリスナイトを従え、空を舞う。
眼下には広大な畑が広がり、夕闇の中、鍬を振るう男が一人。
あ
の男だ。
農民リム。
周りには彼の家族と農民仲間がいる。
「さぁ、リストを消化していくか……」
俺は笑みを浮かべながら、ゆっくりとリムたちに向けて飛び降りた。
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