第3話 いっぱい来た
翌日。
「旦那。こちらです」
町人リムが指差す先には、指輪や首飾りでギラギラと装飾された商人サルシュが立っていた。
彼はいかにも成金といった雰囲気で、貫禄を漂わせている。
「おお、確かにこれはすごい群生地だな」
「品質も一級品でさぁ」
「これは情報料だ、取っておいてくれ」
「こんなに?旦那、貰いすぎですよ」
「いいんだよ。貴重な情報は商人にとっては宝だからね。これからもよろしく頼むよ、リムさん」
「旦那についていきますだ!」
リムとサルシュは満足げに帰っていった。
え?入ってこないのか?と少し拍子抜けしたが、まぁ良いだろう。
その後、一週間ほどは平穏な日々が続いた。
スライムたちと共に過ごし、ダンジョンの全長は100メートルほどにまで拡張された。
分岐もいくつか作り、スライムの数も増えていた。何もかも順調だった。
だが、その平穏は突然終わった。
商人サルシュに加えて、冒険者や探索者たちが大勢集まってきた。
冒険者ライル、ダウ、探索者エレン、格闘家ジウ、魔導師ゴルス、僧侶エレレルなど、総勢30人ほどがダンジョンの入り口に集結している。
「さて、皆さん、こちらが噂の洞窟です。新規のダンジョンですので、調査および魔物や野獣の討伐をお願いします」
「オウッ!」
彼らは一斉に洞窟に突入してきた。
俺は慌ててスライムをテレポートさせ、先頭を歩く探索者エレンの頭上に落とした。
ザシュッ!
スライムはすぐ後方を歩いていた冒険者ライルに一刀両断されてしまった。
「頭上注意!スライムの生息を確認!」
彼らはすごいスピードで奥へと進んでくる。
次々とスライムが倒されていく。
俺は焦りながら、スライムの減少を見守るしかなかった。
「どうやらここが最奥だな」
「このモグラがダンジョンマスターってことか?」
探索者エレンと冒険者ライルが俺を見下ろし、話し合っている。
「まだ新しいダンジョンみたいですね。育てる方法もありますが?」
「ここは町からも近いし、ダンジョンマスターがいなくても優秀な薬草の牧草地になるだろう。危険を排除しておきたい」
サルシュの言葉に冒険者たちは頷き、俺を囲む。
ダンジョンポイントはすでに使い果たし、何もできない。
剣が頭上から振り下ろされ、鋭い痛みが体を貫いた。
それは一瞬で、すぐに全身の感覚が消えていった。意識が薄れ、俺は消えていく。
だが、その時。
「リトライ」
視界に表示されたのは、選択肢だった。
<YES>
<NO>
リトライ? もし「NO」を選んだらどうなるのか気になったが、そんなことを考えている暇はない。
<YES>を選んだ。
再び始まった。
<生き方>
<生きる>
今度は、初めて出てきたメニューを慎重に見渡す。
「出来ること」
・魔物召喚(要DPダンジョンポイント)
・ダンジョン作成(要DPダンジョンポイント)
・直接戦闘(ダンジョンレベルに応じて上昇)
・繁殖(欲求が一定以上必要、相性によって溜まりやすさが異なる)
・魔物移動(ダンジョン内のみ、要DPダンジョンポイント)
・自分移動(ダンジョン内のみ、要DPダンジョンポイント)
・魔物視界認識(ダンジョン外でも可)
・ダンジョン内認識
・アイテム設置(要DPダンジョンポイント)
なるほど、やっと理解できた。
今度はもう少し慎重に、より強力なダンジョンを築く必要がある。
再び「生きる」を選んで、新たな魔物の系統を選択することにした。
<アニマル系>
<人系>
<魔物系>
<妖精系>
<植物系>
<昆虫系>
<ランダム>
今回は「魔物系」を選ぶ。
さらに細かい選択肢が現れる。
<インプ型>
<オーガ型>
<サイクロプス型>
<ゴブリン型>
<オーク型>
<ドラゴン型>
<スライム型>
<サキュバス型>
迷わず「ドラゴン型」を選択した。
気がつくと、俺は森の中にいた。
首を伸ばして周囲を見渡すと、10メートルはあるだろう木々の上に俺の頭が出ている。
俺は巨大なドラゴンになっていた。
力強く大きな体躯、翼を広げれば空さえも覆い尽くすほどの威圧感を持っている。
「デカい、強い。これなら…」
俺は新たな姿で、再び戦いに挑むことを決意した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます