寝顔と添い寝
すうすうと寝息が聞こえてくる。
下を向くと智己くんが目を閉じて寝息を立てている。
やった!やったよ!亜美ちゃん!お母様!
任務達成です!私もお母様と同じことができたみたいです!心の中で礼を言って思わずガッツポーズをしてしまう。
寝顔を眺める。長いまつ毛。整った顔。
格好良すぎてドキドキする。
よく見ると少しクマがある。気づかなかった。
きっとずっと気を張って頑張っているんだ。
お兄ちゃんとして、妹を幸せにするために。
あぁ、どうしよう。どうしようもなく好きだ。
もしかしたら私は彼と出会うために生まれてきたのかもしれない。
お母さん。お父さん。私を産んでくれてありがとう。私、大好きな人ができたよ。
心がポカポカと暖かい。
目線を上げると一冊の本が目に入る。
経営学の本だ。彼は小テストで常に満点を取る天才だ。入学試験でも全テスト満点で、入学生代表として壇上に立っていた。
運動神経だって飛び抜けてはいないけれど悪くはない。顔も整っていて、優しくて、思いやりがある。
唯一の欠点は自己評価が低いことくらいだ。
つまり釣り合っていないのは私の方だ。
ライバルはたくさんいる。そんな彼の横にいるためには努力が必要だ。
経営学…。私にもわかるだろうか。
彼を支えられるだけの頭脳があるとは思っていないけれど、力になりたいと思う。
手を伸ばして本を取る。抱きしめたままその本を読み始めた。
少し疲れて顔を上げる。壁にかけられた時計を見ると1時間くらい経ったみたいだ。
この本は普通に面白い。私は自分が思っているよりこういう本に向いているのかもしれない。
大学は彼と共に経営を学ぶのもいいかも。
そしたら亜美ちゃんとも一緒にいれる。
亜美ちゃんが成長して反抗期になったら泣いちゃうかもしれない。
けど私はずっと妹が欲しいと思っていた。
買い物に行ったり、甘いものを食べに行ったりもしたい。きっと楽しい。
たまには智己くんと二人になりたいけど、それはこうして夜に二人になれればいい。
本を閉じて目を閉じる。
「おやすみなさい。大好きだよ。」
そっと呟く。聞こえてても構わない。
きっと楽しい日々がこれから続くだろう。
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