(2)風変りな

 あ、あれ。僕はどうしたんだろう。

 そう戸惑いはあれ、僕は少女を横目に見た。がそれが失敗だったことに気づく、あまりに整った美人さんだったからだ。

 大いに動揺したさ、だって制服が擦れるほど近くに座ってしまったんだから。若干擦れた高校生、されど健康な思春期男子はこの刺激に堪えられない。

「ん……?」

 こちらを向く。僕の気配を感じ取ったのか僕の姿を捉えたのはぼんやりとした目だ。

「ん、だれ?」

 少女は動揺していない、なにか無警戒すぎると思った。

「僕は、黄瓦がれき。黄瓦 かおるd……です」

「そう……」

 小さく返事をする少女は、ものおげな動作で手首を見つめていた。なんだか情緒の掴めない性格をしている。

「んん、そういえば、私の名前はしりたいかしら……」

 そうやって風変りな言葉を話す口元に、柔らかな横髪が一筋、靡いて落ちる。

「………………」

 また、言葉に詰まった。

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