(1)ひと声
僕という人間はそうだ。矛盾を抱えて生きている。
いつも、クラスのお調子者のような分かりやすい人間に嫉妬している、都度気づくと自己嫌悪が始まる。だから、一人の時間はなるべく作らないようにする。考えずにいるために。
しかしどうだろう、いま僕は屋上への清潔に掃除された階段を登っているじゃないか。一人の時間に逃げようとしているじゃないか。
気が狂っているんだ。
そんないつもと違った行動をした日、僕は気の狂ったようにおかしな出会いをした。
開けた扉の向こうには、ひとりうずくまって不貞腐れている女の子がいた。
最初、声が出なかった、息が詰まっていた。言葉の一語一音がわからなかった。だからひと声をかける前に、体が動いた。
隣に座った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます