(1)ひと声
僕という人間はそうだ。矛盾を抱えて生きている。
いつも、クラスのお調子者のような分かりやすい人間に嫉妬している、都度気づくと自己嫌悪が始まる。だから、一人の時間はなるべく作らないようにする。考えずにいるために。
しかしどうだろう、いま僕は屋上への清潔に掃除された階段を登っているじゃないか。一人の時間に逃げようとしているじゃないか。
気が狂っているんだ。
そんないつもと違った行動をした日、僕は気の狂ったようにおかしな出会いをした。
開けた扉の向こうには、ひとりうずくまって不貞腐れている女の子がいた。
最初、声が出なかった、息が詰まっていた。言葉の一語一音がわからなかった。だからひと声をかける前に、体が動いた。
隣に座った。
次の更新予定
2024年10月2日 18:00
2024年10月3日 18:00
キミに捧げる初めてたち 彩芽綾眼:さいのめ あやめ @0ayame
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