第23話 アレン様は何者なの? エイダ視点

「あの魔法、本当に凄かった……」


 私は今、自分の邸宅のリビングにいる。


 柔らかな日差しが窓から差し込み、部屋全体を暖かく包んでいる。


 私はゆっくりと椅子に腰を下ろし、手元のカップに目をやる。


 紅茶の香りが優雅に広がり、外の美しい庭を眺めながら一息ついた。


「まさかアレン様が第3級魔法を使えるなんて……」


 あの決闘で、アレン様が見せた魔法は第3級――その名を聞いただけで、誰もが驚愕するレベルの魔法だ。


 王国を代表する魔術師たちだけが使える領域の力。


 それを、あの若さで、しかも独学で……アレン様は一体何者なのか。


 王国の国境を守るほどの実力を持つアレン様の父親、デリック様と同じ魔法を、目の前で見せられるとは思いもしなかった。


「こんな逸材、生徒会に入れない手はないわ……」


 私は生徒会長という立場で、普段は自らスカウトに動くことはあまりない。


 だが、今回ばかりは例外だ。


 アレン様の才能は常識を覆すもので、もしアレン様が生徒会に入れば、学園の勢力図さえも変わるかもしれない。


 普通、第3級魔法など独学で学べるものではない。


 にもかかわらず、アレン様はその高度な魔法をいとも簡単に使いこなしていた。


 その圧倒的な魔力……並みの者ではない。


「しかも、あのカイルといった平民もかなりの実力を持っていたのに、簡単に倒してしまった……」


 私はふと、あの戦いを思い出す。


 カイルの剣技は見事だった。


 しかし、アレン様はまるでその攻撃を予知していたかのように動き回り、カイルを完全に翻弄していた。


 戦闘経験が豊富でなければ、あそこまで冷静に、しかも魔法を効果的に使いこなすことはできない。


 アレン様の動きは洗練されていて、あの場にいた誰もが圧倒されたはずだ。


「アレン様は全てが完璧に見える……これは、生徒会に入れるべき人材よ。ルード、こちらに来なさい」


「はっ」


 私の声に応じて現れたのは、専属メイドのルード。


 ルードは諜報活動に優れ、私の信頼する優秀なメイドだ。


 そして、昔からの幼馴染でもある彼女はいつも私をサポートし、必要な情報を集めてくれる。


「ルード、調査して欲しいことがあるのだけど……アレン・レイト・グレイスについての情報を集めてちょうだい」


「承知致しました」


 ルードは一礼し、すぐに任務に取り掛かろうとするが、私は少し考え込んだ後、もう一つ頼んでみる。


「あとは……無いとは思うけど、アレン様の弱点も探ってきてちょうだい」


「弱点ですか? 可能な限り情報を集めますが……なぜ弱点を?」


「い、一応ね……もし生徒会に入ってくれなかったら、その弱点を……」


「エイダ様、顔がにやけていますよ」


「わ、わかってるわよ! とにかく、ルード、頼んだわ!」


「ふふ、かしこまりました」


 全く……別に悪いことじゃないわよね。


 もしアレン様が生徒会に入ってくれなかったら、ほんの少しだけ弱点を突くだけ。


 それくらい、あんな才能を放っておくわけにはいかないんだから。


―――



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