第48話 カリュオスの暴虐

 ダンジョン内の魔物は、肉体、そして術式を破壊されようとも復活する。

 だとしても、魔物たちは殺されるために生まれてくるのではない。しかし今、『剣聖村』付近の階層地帯では、無数の魔物たちの無惨な死骸の山がひたすらに作られていた。

 それらは全てカリュオスと名のつく『剣聖魔』の仕業。

 そしてカリュオスの狂気はダンジョンの深層まで到達し、同じ剣聖魔であるオータルとブルジブの二人がかりでも敵わない魔物を意図も容易く壊していたのだ。

 魔物の名は「クリスタルサーペント」。骨の全てがダイヤモンドのような輝きと強度を誇る魔物である。


「こりゃいいぜ、俺様の新たな武器とするか!」


 カリュオスはクリスタルサーペントの巨大な背骨を引っこ抜き、天高く持ち上げる。


「魔物の肉もそろそろ飽きたぜ。久しぶりに村に戻るとするか」


 カリュオスの狂気が村へと向けられる。

 カリュオスの復活を知っている者は、ビヨンドと剣聖魔たちのみ。

 どうにか対処しようと試みているようだが、再び『剣聖村』が悲劇を迎えようとしているなど、事情を知らぬ者たちは夢にも思っていないだろう。

 しかし必ず思い出す———五年前のあの悲劇を。

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