第3話

「お嬢、どちらへ?」


エントランスホールでうちの護衛の人に声をかけられた。


「外の空気が恋しくて」


顔に笑みを貼り付けて言えば、


「お一人では危険ですので双子呼びますね」


そう言い、一礼してこの場を離れていった。

別にいいのに。

そんなことしなくても危険は自分で回避できる。


護衛の人の去って行く姿をぼーっと見ていた。


今日はなんのパーティーなんだったんだろう。

支店が増える度にこんなことするのはごめんだ。


こんな人間の欲に塗れた世界なんて


滅んでしまえばいいのに



なんだか息苦しく感じて早足にエントランスを出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る