第2話

「はっはっはっ、相変わらず硬派ですなぁ?鈴峯の嬢は」


そう言って男は笑う。

だが、隣に立つ息子は私を睨みつけるようにして立っていた。


キモチワルイ


この世界も何もかも


薄汚れた、なんてものではない。

どす黒く、欲に塗れた世界にはうんざりだ。


私が黒い世界に入ろうとしたとき、


「………凛寧」


後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。


「…若様」


「おぉ、社長、この度はおめでとうございます」


「……ありがとうございます」


私は一礼し、その場をそっと離れた。

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