穢れた世界
第1話
「おめでとうございます鈴峯会長」
「今度はイギリスに支店ですとは…やりますなぁ」
「こちらこそありがとうございます。まだまだですがね」
思ってもないことがよくスラスラと出るものだ。
お世辞とも思ってないだろう上辺だけの褒め言葉。
このトップの座をいつ奪ってやろうかと企んでいるくせに。
「おや、こちらが噂の?」
「あぁ、今年で18になる娘です」
「美人になりましたなぁ。どうですか?私の息子なんかは」
チラリ、私に目を向けられる。
こういうのももううんざりだ。
そういう人の隣に立つ息子という人。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべてこちらを見ている。
私は決まってこう言う。
「……そんな、私にはもったいないですよ」
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