第16話

「利人くんも藍人くんも、凛寧の番犬だよね」



ちょっと、というかだいぶ面白くないから嫌味を込めて言うと、輝夜さんは静かに笑う。



「あいつらからしたら凛寧は命の恩人だからな。仕方ない」


「…ふーん」


「ほら、いじけてないで仕事して。厳密に言ったら1ヶ月ないんだから」



月花さんに言われてキーボードを叩く手を速める。



月花さんに教わりながら、ウイルスを流し込む。こちら側のささやかな抵抗。


実際侵入したとき、返り討ちにあっては話にならない。

凛寧の救出は神隠しにあったとでも思ってもらう方が都合がいい。


そのために各場所にウイルスをばら蒔いている。もちろん、足跡は付けずに。



「………凛寧、」


シャラ、と揺れるブレスレットに触れる。


凛寧を感じられる気がして、1日に何度もこれに触れる。


凛寧を抱きしめてこの腕に閉じ込めてしまいたい。


監禁して、二度と外に出られないように…



よくない妄想ばかりが膨らむ中、月花さんの息を飲む声が聞こえた。

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