第11話
『
男は、息を呑んだ。入らなければこのセピア街に突っ立ったままになり、中に入れば、何があるかわからない所を
(ここがどこなのか
男の額を汗がつたう。
少しの間目を閉じ、先程まで目の前にいたはずの妻の姿を思い浮かべていた。何も言わないで…未花子はそう伝えようとしていてくれたのか…立て札を前にして、改めて意味のある仕草であったのだろうと確信した。
「ふ———っ」
男は深呼吸をした。
建物の入り口へ足を踏み入れた。
さて、男の決断はどう転ぶのやら…。
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