第12話

男はもう後戻りはできないと、意を決し立て札を越えて建物内へと足を踏み入れた。


とても長い夢を見ている気分に浸ったまま、現実なのか夢なのか、いまだにハッキリしない不安の渦にのまれたまま、男は先を進むしかないのだ。


建物は真っ暗闇に包まれていた。

足を踏み入れて程なくすると、モクモクッと白い煙りのような深い霧が、男をあっという間に包み込んだ。


気を失ったかのように睡魔に襲われ、男は自然と目を閉じていた。目を閉じる瞬間、かすかに花のような香りが漂っていた。


 【真っ白な眩い強い光、目が開けられない画】





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