第4話

ばあばは、話を続けた。

「言葉とは不思議なもので、人の人生を大きく左右する。時には言葉ひとつに救われ、時には言葉ひとつで命を喰らわれる事もある。」


店の入り口にわずかに差し込めていた太陽の陽を、少しずつ、もくもくとした灰色の雲が隠し始めた。薄暗い店内はさらに暗くなる。


ゴロゴロゴロ………(雷の音)


ばあば「言葉は人の中で生きている。気づかないうちに、わたし達はたくさんの言葉を吸収し、また、同じように排出もしている。それがどれだけ、貴重な時間ことか。人生をより豊かに生きたいのであれば、あなたも、あの世界へ行ってみるといいわ…。」


男は金縛りにかかったかのように、うまく動けず、声も出ない。ばあばの影が、おどろおどろしく怪しげな形に見えた。

空は一面を、薄黒い雲の幕に覆われ、稲光が走っている。黄金色の稲光が走るたび、ばあばの表情を不気味に演出した。


不思議な力を持つばあばは、摩訶不思議な世界へと客人というゲストをいざなう、奇妙で少し不気味な案内役。


そこは入り口すらどこにあるのか、ばあばと、招かれし選ばれた者にしかわからない…秘密の場所。

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