第31話

「そこは、お互い大人だし?内緒の方向でいけばいいじゃん」



「内緒ですか」



「そう、二人の秘密」







人差し指を口の前に持っていって、いわゆるグラビアの“決め顔”を披露した。








「秘密ですかぁ」







俺の顔を見ているはずなのに、奈々ちゃんはそんなのはどうでも良さそうに呑気に考えている。








いや、ここね?顔が赤くなるとこだよ?胸キュンポイントを演出してみたんだけど?








「じゃあ、もしまたどこかで偶然再会したら連絡先の交換をしましょっか?」






なんで?どうしてそんな運命的な事するの?



たかだかセフレの関係に運命的な要素とか必要なくね?



いや、これって遠回しに振られてるのか?







この目の前にいる奈々ちゃんが考えている事はさっぱり読めねえ。







まるで“良い事言った!”とばかりに、楽しそうにビールを飲んでいるし、どうせここに来れば会えるだろうから、ここは素直に乗っておこう。







「いいよ。じゃあ、次に会った時に連絡先交換ね。」



「そうですね~」








まるで、もう次なんてないとばかりに、どうでも良さそうに返事を返された。

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