第29話

「まぁ、次に誰かと会うってなったらその人はセフレなんでしょうね」



「じゃあ、俺が奈々ちゃんのセフレに立候補していい?」







しばらくは遊びたかったし、ちょうど良くないか?







この子、俺の事を芸能人!ウハー!!って目で見てこないし。









図々しい態度も、ブリブリした態度も見せてこない。



面倒な事言わなそうだし。



家以外で会うのを強要もしなそうだ。







奈々ちゃんも真剣な付き合いを望んでないみたいだし、お互いに利害の一致じゃねえか。








「………あなたとですか?」







困惑したように視線を泳がせる奈々ちゃんに、初めて自己紹介すらしていない失態に気が付く。









「俺、綾斗(あやと)。佐々木綾斗だから。」



「……綾斗さんですか」



「綾斗でいいよ」



「私と綾斗がセフレ……。」








眉間に皺を寄せながら悩んでいる姿もなんだか面白い。

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