第17話
チラリと彼女の手元を見てみれば、俺も良くもらうカタログギフトの本が握りしめられている。
「この前もらったけど、欲しいのなかったんだよね。だから、あげるよ」
「そうなの?じゃあ、見てみるね」
「もし何もなければ友達にでもあげてよ。俺の名前書くとこあるかもしれないから教えてくれちゃって構わないし」
おいおいおいおい!
そんないらない物をやり取りするような仲なのか?
客と店員じゃねえのか?
俺だって、よっちゃんの名前は吉原って知ってっけど、下の名前なんて知らねえのに。
考えてみれば、さっき出てきたドアってよっちゃんの部屋に繋がるドアだよな?
見極めねえと。
さっきの勘違い男も無駄にポジティブっぽいけど、この女ももしかしたら騙すような事をしていたのかもしれねえし。
だとしたら、魔の手からよっちゃんを守らねえと。
友達とは言える仲じゃねえけど、すげえいい人だから。
決意固くし、スマホを見ている振りをしながら聞き耳を立てる。
なんだよ、これ。聞き耳立てるってさっきの食事会の再現かよ。こんなんばっかじゃねえか。
「えー、そんな失礼な事しないって。もし、何もなければ食べ物にするから仁志(ひとし)くん、食べに来てよ」
どうやら、家に呼ぶような仲らしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます