第17話

チラリと彼女の手元を見てみれば、俺も良くもらうカタログギフトの本が握りしめられている。






「この前もらったけど、欲しいのなかったんだよね。だから、あげるよ」



「そうなの?じゃあ、見てみるね」



「もし何もなければ友達にでもあげてよ。俺の名前書くとこあるかもしれないから教えてくれちゃって構わないし」







おいおいおいおい!



そんないらない物をやり取りするような仲なのか?



客と店員じゃねえのか?



俺だって、よっちゃんの名前は吉原って知ってっけど、下の名前なんて知らねえのに。







考えてみれば、さっき出てきたドアってよっちゃんの部屋に繋がるドアだよな?





見極めねえと。



さっきの勘違い男も無駄にポジティブっぽいけど、この女ももしかしたら騙すような事をしていたのかもしれねえし。





だとしたら、魔の手からよっちゃんを守らねえと。






友達とは言える仲じゃねえけど、すげえいい人だから。









決意固くし、スマホを見ている振りをしながら聞き耳を立てる。






なんだよ、これ。聞き耳立てるってさっきの食事会の再現かよ。こんなんばっかじゃねえか。









「えー、そんな失礼な事しないって。もし、何もなければ食べ物にするから仁志(ひとし)くん、食べに来てよ」







どうやら、家に呼ぶような仲らしい。

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