第16話

驚き過ぎて、二度見をしてしまった。





そして、この驚きをどうにかしたく、反射的にビールを煽る。









だって、こっちに向かって歩いてくるのは、







…………さっきの女。










容赦なく振ってた女。



店内に居合わせた全員に強烈な印象だけを残して颯爽と消えた女。








「奈々ちゃん、見つかった?」







呑気な声がカウンター内から聞こえて、疲れた脳でも二人が知り合いだと検討がつく。





「うん。見つけたけど本当にもらっていいの?」






さっきまでの不機嫌さなんてどこにもない声。そして、やっぱり耳障りの良い声だなと考えていれば、二つ離れた席に静かに座る気配がした。










何となく二人の会話の邪魔を出来なくて、おもむろにスマホを取り出すと、鬼電とLIPEの嵐。新手の嫌がらせですか…。





千春ちゃんよう。









げんなりしながら、スマホを開くと隣と前で会話が繰り広げられている。

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