第7話

幸せのおすそ分けじゃなくて、不幸もらっちまいそうじゃねえか。






お祓い行こうかな、うん、行こう。








「………別れたいってこと?」









絞り出すような男の声が、静かに俺たちのテーブルに消えていく。






店員さんもどこで電気を付けていいのか分からないらしく、さっきからずっと薄暗い店内のまま。




誰もいなくなったテーブルを一点に照らすスポットライトの輝かしさが物悲しすぎる。





平日のど真ん中で夜も11時を回ってる今だから、そこまで席は埋まっていないけど、それでも話し出す客は一人もいない。







みんな静かに聞き耳を立てている。




視界の片隅に入る爛々ときらめく夜景が余計に哀愁を漂わせ、俺たちを暗く落ち込ませていく。




そして、その落ち込みと同時に、次は何を言ってくれるのだろうと下世話な興味が充満していて。













そんな一体感を感じつつある俺たちに、今日一番の爆弾が落っことされた。

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