第44話

私の家に着いて…二人で一緒に中に入る。佑弥くんはいつもと同じように、履物を揃えて…すぐに洗面所に向かい手洗いを済ませる。 しっかりしてるというかなんというか…抜かりない。





「─…莉久、腹減った。何か作って」





何も食べずに来たのか─…手洗いを済ませてからリビングに向かって直ぐに佑弥くんにそう言われたので、キッチンに向かい何が作れるか冷蔵庫を物色して確認する。





『………卵焼きでもいい?』




「ん…最高です。」






機嫌が戻ったのか…彼はキッチンに立つ私の元まで歩いてくると、料理をしている私のことを背後からそっと抱きしめる。





『う、佑弥くん…作りづらいよ、』







「は?我慢せぇや。何時間も外で待ってたんやから…こんくらいええやろ」






いやぁ…全然いい。っていうかむしろ、嬉しいです…っとはいえ私は料理が下手だ。こんな風に背後から佑弥くんに抱きしめられていると、唯一作れる卵焼きでさえも失敗してしまうという不器用ぶりを発揮する

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