第43話

「──…あのぉ…」




佑弥くんに言い返そうとした時─…気まずそうにタクシーの運転手さんが声を掛けてきた





「えっと…それで、、何処に向かえば…?」





っあ…行先を伝える前に喧嘩始めちゃってた





『っあ…す、すみませんっ…えっと、、』





私のマンションの住所を伝えてタクシーが発進したのを確認してから、再び佑弥くんに視線を向けると─…





彼は窓に頭を預けて、静かに目を閉じ…動かなくなっていた





──…寝てるの?






そっと…髪に触れようと手を伸ばしてみるけど





「─…さわんな、」




っていつも通り、髪に触れるのを阻止される






それでも…少しでも佑弥くんに触れていたくて、黙って手のひらを重ねてみると─…






重ねた手…下にあった佑弥くんの手のひらがクルっと反転して…慣れた手つきで指を絡めて…ギューッと私の手を握ってくれる






───…ごめんね、





って、言葉にしなくてもなんとなく分かる






多分お互い─…同じことを考えてる。

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