第34話

「あ…そーや、忘れとった。」




別れ際─…




車の窓から少し大きめのテディベアを私に手渡した佑弥くん





お尻が窓につっかえてしまって、思い切って引っ張り出してみたところ…その反動で尻もちをついてしまった





「っは…お前何やってんねん、アホっ」





すぐに車から降りてきて私に手を貸してくれる佑弥くん






いや、初めから降りて渡して欲しかった






「莉久は寂しがりやからな、これやるわ。大事にしぃや?」





佑弥くんにもらったクマをギュッと力いっぱい抱き締める





「ほんならまた、来月な?はよ中入り、身体冷やしたら風邪ひくで」




ガシガシと私の髪を雑に撫でてから…車に乗り込んで颯爽と行ってしまった佑弥くん





この瞬間が…どうしようも無く寂しい




無意識に、クマを抱き締める腕に力を込めてしまう






ヒヤッと…指先に感じた冷たい感覚─…




──…濡れてる?




っと、指先に触れていたクマの手元を見てみると─…

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