第27話

私と佑弥くんとの出会いは─…

約1年半ほど前まで遡る


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私の実家は小さな定食屋さんをしていて…たまに仕事終わりに立ち寄り、後片付けの手伝いをしていた。






22時に閉まる実家の定食屋さん。常連さんたちが帰ってしまったあと、両親には裏で休んでもらい一人片付けをしている時だった






「あー…最悪っ、むっちゃ濡れた」





ガラガラ…っと、引き戸の扉が開いてずぶ濡れでスーツ姿の男性が一人入ってきたのだ






『っあ…えっと、大丈夫ですかっ?!タオル…持ってきますね!』





営業時間は過ぎているが、さすがに放っておけなくて…裏からタオルを持ち出して彼に手渡した






「悪いなぁ…助かったわ。いやぁ、いきなりジャーって雨降ってきてビビったわ…なんなん?東京て怖いなぁホンマ。はよ帰りたいわ」





勢いのある関西弁でベラベラと語られてついていけずに愛想笑いを振りまいていると、






「っあ…ここ、ご飯屋さんやん。何か作ってくれへん?腹減って死にそうやねん」





びしょ濡れの黒髪をガシガシとタオルで拭きながらそんなことを言い出した彼。バサッと後ろに髪をかきあげた瞬間…心臓がドクンっと音を立てて飛び跳ねた






───カッコいい、

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