第24話

そう、思っていたのに──…




「仕事の電話、無視すんのはナシやろ。お前が出やんのやったら俺が出たるから貸してみ」





私の手の中からスマホを奪った佑弥くん。案の定画面に"進藤 常務"と表示されている







焦った私を見ながら笑った佑弥くんは、スピーカーにして通話を繋げた








「─…っあ、もしもしっ?!小宮こみや秘書っ?良かったぁ出てくれて!あー…小宮秘書今から出てこれない?!小宮秘書が居ないと無理だわ、ちょっとだけ出てきてくれる?頼むっ、お願いします、小宮さまっ!!!」





小宮…と言うのは私の苗字だ。叫ぶように私の名を連呼している進藤常務の様子からして何かあったのだと悟る。






『……無理です、っていうか昨日も遅くまで付き合ったじゃないですか。今日は無理だって3ヶ月前から伝えてましたよね?!出勤出来ません頑張って自力で何とかしてください』






「あーっ、待って待って!切らないでっ!」






『…………なんですか?』





「……………昨日一緒に作ってもらった書類のデータって、どこに保存したっけ?」







───バカ常務、滅びろ。



佑弥くんからスマホを奪い返して、ブチっ…と通話を終わらせてやった。

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